エンターテイメント日誌

2006年05月21日(日) モノクロームの似合う男

ジョージ・クルーニーが脚本・監督・助演の三役をこなした「グッドナイト&グッドラック」を観た。

1950年代のアメリカテレビ界を描いたこの作品、まず冒頭でテレビ・キャスターがタバコを吸いながら司会進行している姿に唖然とした。後にこの番組のスポンサーがタバコ会社だということが示されて納得はしたのだが、現代ならアメリカはおろか日本でさえ許されない行為であろう。ニュージーランドでラッセル・クロウがコンサート中に舞台で喫煙したというだけで大問題になり、同国の厚生省が乗り出すという事態にまで発展するこのご時世である。その事件の詳細はこちら。たった半世紀なのに時代は劇的に変化し続けている。

とまあ、ここまでは余談であるが、映画の評価はB+である。実に力強い佳作でありクルーニーがこの映画で描かれたマッカーシー旋風(赤狩り)を、現代のブッシュ政権によるネオ・コン(ネオ・コンザーバティブ、新保守主義)の暴走と重ね合わせているのが明らかで、そこが実に巧みな作劇で面白かった。

モノクロームの映像の美しさも際立っていた。光と影。一見華やかなテレビ業界の表とどす黒い裏。その対比が鮮やかだ。ジョージ・クルーニーという役者は実に濃い顔なので(佐藤浩市も似たタイプ)カラーだとちょっと暑苦しいというかクドイ印象が拭えないが、白黒映像だとそれが緩和されて実に格好よく映えるから不思議だ。現代劇だと魅力がないが時代劇・コスチューム・プレイだと生き生きとする役者もいるが(例えば松平健、稲森いずみ、スカーレット・ヨハンソン)、モノクロームが似合うタイプもあるんだなと新発見をした。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]