エンターテイメント日誌

2005年12月17日(土) すげーぜ!ピーター・ジャクソン

ピーター・ジャクソン監督の「キング・コング」を観た。・・・・・圧倒された。凄い。凄すぎる!評価はA+である。

ピーターは8歳の時に親に買ってもらった8mmカメラで短編映画を撮り始め、9歳の時にテレビで観た「キング・コング」(1933)に衝撃を受け映画監督になることを決意した。そして12歳の頃、自宅でダンボールを用いてミニチュアを作り「キング・コング」のリメイクを試みたが未完に終わったそうだ。

「キング・コング」の上映時間は3時間8分。当初予定されていた2時間半よりも30分延びたことで、製作費も増大。1億7500万ドル(約205億円)から2億700万ドル(約316億円)に跳ね上がった。「タイタニック」「スパイダーマン2」を超える映画史上最高額である。超過分は一部監督自ら負担したという。

そのピーターの執念がフィルムに乗り移ったというか、才気迸る映像の洪水にただただ呆然と立ち竦むしかないといった印象だ。

ピーターは実は「ロード・オブ・ザ・リング」の撮影前にも「キング・コング」の製作を企画。だが、当時は知名度も低くスタジオから拒否された。結果的にはそのときにもしもGOサインが出ていても、これだけの予算もかけられなかったし、CG技術も今ほどには発展していなかったわけだから、作品にとっては幸運だったと言えるだろう。

上映時間が長いので物語が停滞する場面がないわけではない。特にコングが登場するまでの前半は些か退屈する。しかし、コング出現以降は正に怒濤の展開。T-レックス3頭との死闘も凄まじいし、ラプトル、プテラノドン、プレシオサウルス、ステゴザウルス、巨大トカゲ、巨大ムカデなど恐竜やモンスターがこれでもか!とウジョウジョ登場する映像は壮観である。登場人物とCGキャラクターとの合成がしっくりと馴染んでないシーンもちらほら散見するが、そんなことは気にするな。些細なことである。

舞台がニューヨークへ移ってからも、画面に目が釘付けである。息つく暇もない。この映画、殆どニュージーランドロケで実際には余りニューヨークで撮ってないんじゃないかな。CGやビガチュア(巨大ミニチュア)で丸ごと1930年代のニューヨークを再現したという感じだ。もうそのリアリティには恐れ入った。エンパイア・ステートビルで雄叫びを挙げるコングの雄姿は美しく感動的だ。

モーション・キャプチャ(そのデータを元にCGアニメーターがキャラクターに動きをつける)でキング・コングを演じたアンディ・サーキスが素晴らしい。表情豊かで想わず感情移入をせざるをえない愛すべきキャラクターづくりに成功している。彼が演じたゴラムと共に永遠に映画史に輝き続けることだろう。彼のパフォーマンスは演技賞というカテゴリーには入らないので、ぜひアカデミー協会はアカデミー特別賞を与えるべきだろう。ゴラムはMTVムービー・アワードでヴァーチャル演技賞を受賞しているが、今回も間違いなくコングが受賞するだろう。

感情表現が繊細なナオミ・ワッツも文句のつけようがない。堂々たるヒロインである。「マルホランド・ドライブ」(2001)以来彼女のファンを自認しているが、今回の彼女のパフォーマンスは今までで最高のものだ。

筆者は「キング・コング」の1933年版も1976年版も観ているが、この物語を面白いと想ったことは一度もない。まあ所詮は「オペラ座の怪人」「ノードルダムのせむし男」「シラノ・ド・ベルジュラック」などと同様の<美女と野獣>ものである。コングへの思い入れも皆無だ。そんな筆者が2005年版は時を忘れて夢中になったのだから、この映画はよっぽどの傑作である。必見。

ピーター・ジャクソンは今回の2005年版を観て映画監督を志す少年少女が現れたら嬉しいとコメントをしている。間違いなくそうなるよ、ピーター。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]