エンターテイメント日誌

2005年09月04日(日) 自由戀愛のすすめ

WOWOWのドラマWで放送された「自由戀愛」が好評につき劇場公開された。公式サイトはこちら

いままで原田眞人監督の映画を面白いと感じたことは一度もなかった。監督デビュー作「さらば映画の友よ・インディアンサマー」なんか、ベタベタ感傷的な自慰映画としか想えなかったし、キネマ旬報のベストテンに入選した「バウンスkoGALS」「金融腐蝕列島・呪縛」も退屈だった。

むしろ原田眞人という人は「英語が喋れるんだぜ、凄いだろ、オレ」と詰まらぬことをいつも自慢している浅はかな人という印象が強かった。「金融腐蝕列島」で唐突に"The Good, The Bad, And The Ugly"(マカロニ・ウエスタン「続・夕陽のガンマン」の原題)なんて台詞が飛び出したり、「バウンスkoGALS」でコギャルが突然英語を喋ったり。一番酷かったのがロボットSF「ガンヘッド」で高嶋政宏ほか登場人物全てが英語で喋り、字幕スーパーが付く。欧米で公開される予定もまったくないのに誰のための映画なんだと呆れ果てた。そういう意味では日本での記者会見で突然英語で喋ったり、ホームページの日記を英語で書いたりと奇行の目立つ宇多田ヒカルの軽薄さと共通するものを感じる(宇多田よ、そんなに英語が出来ることが自慢なら、歯を食いしばってでもアメリカの音楽業界で認めてもらえる存在になれよ。北米デビューしても全く売れなくて日本人にしか相手にしてもらえないんだから日本語で唄えよ)。

しかし「自由戀愛」は文句なしの傑作である。評価はA。正直原田監督にこのような骨格がしっかりした女性映画を撮る能力があるとは想ってもみなかった。英語を喋りたがるキャラクターが今回も登場するが、余り気にならない。「自由戀愛」には大正モダニズムが生き生きと息づいている。

役者で特に秀逸だったのはハセキョーこと長谷川京子である。その生活感のなさが役柄にぴたりとはまった。木村佳乃は清純なお嬢様役をやると全く魅力がないのだが、「阿修羅のごとく」の愛人役とか今回のようなよこしまでで陰気な女を演じると俄然輝いてくるのだから不思議である。ダンディに帽子を着こなす豊川悦司も実に格好いい。この映画を観て女性ファンが更に増えるのではなかろうか。

それにしても木村佳乃さん、10月公開の「蝉しぐれ」も控えていることだし映画女優として順風満帆なのだから、「ミー・アンド・マイ・ガール」とか「モーツァルト!」とか舞台ミュージカルに出演するのは金輪際止めて欲しい。どうかお願いします。唄も踊りも駄目な人に出演されたら、観客が迷惑だから。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]