エンターテイメント日誌

2005年03月19日(土) 来年のアカデミー賞を占う

気の早い話だが、来年のオスカーを賑わすであろう有力作品について語ろう。

まず何と言っても「The Producers:The movie Musical」である。メル・ブルックスが脚本・監督し1968年にアカデミー賞でオリジナル脚本賞を受賞したコメディ映画の大傑作「プロデューサーズ」を同じくブルックスが舞台ミュージカル用に脚色し、さらに作曲まで手がけて2001年のトニー賞を史上最多の12部門独占という快挙を成し遂げた作品なのである。

待望の映画化でメガフォンを取るのは舞台版の振り付け・演出を担当し、これが映画監督デビューとなるスーザン・ストローマン。トニー賞に続きオスカーも手に入れるのか大注目だ。彼女が受賞出来ればアカデミー史上初の女性監督受賞となる。その機運は熟した。

トニー賞主演男優賞を受賞したネイサン・レイン(同役をロンドンで演じる予定だったリチャード・ドレイファスが椎間板ヘルニアで出演不能になり、急遽代役に立ったレインは英国演劇界で最も権威のあるローレンス・オリビエ賞まで受賞した)、トニー賞助演男優賞受賞のゲイリー・ビーチをはじめ、マシュー・ブロデリック、ロジャー・バートなど舞台のオリジナル・キャストがこぞって出演する。筆者は初演された年ブロードウェイで幸いにもこのオリジナル・キャストによる「プロデューサーズ」を観劇する機会を得たが、そりゃあもう最高に面白かった。パーフェクトな作品である。ネイサン・レインはオスカー当確だろう。マシュー・ブロデリックも助演男優賞のカテゴリーに入ることさえ出来れば受賞の可能性がある(トニー賞では主演の枠だったのでレインと競合する形になった)。

残念だったのはおつむが空っぽで英語が喋れない金髪のスエーデン人グラマー秘書、ウラ役に当初ニコール・キッドマンがキャスティングされていたのだがニコールはラッセル・クロウ、ジェフリー・ラッシュなどオーストラリア俳優が大挙出演する予定だった「ユーカリプタス」のスケジュールの都合で「プロデューサーズ」を降板してしまったのである。おまけに結局、「ユーカリプタス」はクランクインの3日前に突然中止、無期限の製作延期となった。ニコールの代わりにウラに抜擢されたのはユマ・サーマンである。ユマには悪いけどやっぱりニコールで観たかったなぁ。映画の撮影は既に2月にクランクインしているので、今更致し方ない。

筆者は「The Producers:The movie Musical」を来年の作品賞候補ナンバー1と考えているが、この作品に死角があるとすればオスカーはコメディに冷たいということである。深刻な重いテーマの映画の方が過大に評価される傾向がある。だからもし、「宇宙戦争」を撮り終え、現在ポスト・プロダクション真っ只中のスピルバーグが次のプロジェクト、1972年のミュンヘン・オリンピックで、パレスチナ過激派によりイスラエル人選手11人らが犠牲となった事件を描く新作(タイトル未定)に直ちに取りかかり、年末までに仕上げてしまえば、これが最大のライバルとなるであろう。脚本は既に出来上がっているそうだし、スピルバーグは早撮りで有名なのでその可能性は十分にある。ハリウッドはスピルバーグを含めユダヤ人の巣窟なので、こういうユダヤ人が犠牲になる映画に弱いんだよね。まあメル・ブルックスもユダヤ人なので次回はユダヤ人対決になるのかも。

さて、少々長くなったのでこれくらいにして続きは次回に。読みたい人は投票をよろしく。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]