エンターテイメント日誌

2005年03月11日(金) ローレライ浮上せず

筆者は遡ること昨年2/25の日誌にローレライよ、米国を撃て!という表題で映画「ローレライ」への期待感を書いた。

映画「ローレライ」を批判する人たちの多くは、まるで設定がアニメみたいだと異口同音に書いているが、筆者はそんなことは観る前から自明の事であると受け止めている。何故ならば一年以上前に書いたように原作自体が明らかにガンダムや宇宙戦艦ヤマト、新世紀エヴァンゲリオン、そして天空の城ラピュタ等の影響を受けているからである。

映画はあの長大な原作を2時間程度に要領よくまとめているし、役者も悪くない。しかしながら期待はずれであったと書かざるを得ないところに忸怩たる想いがある。筆者の評価はB-である。

何に失望したと言えばズバリ特撮である。「ローレライ」の監督、樋口真嗣は特技監督として参加した平成ガメラ・シリーズを、ハリウッド映画に匹敵するレベルで仕上げた特撮の鬼だけに今回も多大な期待をしていたのだが、兎に角オールCGの特撮がしょぼいのである。潜水艦にしろ駆逐艦、原爆搭載機にしろあくまでCGで描かれた「絵」にしか見えない。中に人が乗っていると信じられるリアリティが皆無なのである。まるで実写とアニメを融合させた「メリー・ポピンズ」とか「ロジャー・ラビット」、あるいはアニメーション総指揮を手塚治虫が担当した市川昆監督の「火の鳥」を観ているような感覚で、潜水艦内のドラマで盛り上がっていると突然CGアニメに切り替わるので萎えてしまうのである。

映画「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督は昔からミニチュア特撮が大好きで、特撮工房WETAワークショップは最新作「王の帰還」においても、登場する建築物の大半にミニチュア(あまりにも巨大なミニチュアなので<ビガチュア(bigature) >と呼ばれている)を使用している。だからあれだけの質感が出るのである。樋口監督はミニチュアを用いで平成ガメラシリーズで確かな成果をあげているのだから、今回も少なくとも登場する乗り物についてはCGのみに依存するべきではなかったのではなかろうか?それから予算がないから仕方ないのだろうが、テニアン島まで全てCG処理してしまったのには落胆した。せめて近場の島ででもロケをしてほしかったなぁ。殆どスタジオ撮影しかしていないのがバレバレである。トホホ・・・


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]