エンターテイメント日誌

2004年05月26日(水) ビルを殺れ! 第弐巻

「キル・ビル VOL.2」の評価はB。

ディズニーの子会社である映画スタジオ:ミラマックス創設者のハーヴェイとボブ・ワインスタイン兄弟は「キル・ビル」の製作にあたって是非アカデミー賞を狙いたいと考えていたようだ。しかし、タランティーノの編集作業は遅れ、全長4時間を越える大作になってしまったために、第一部を2003年に、第二部を2004年に分けて公開することを余儀なくされた。そして当然アカデミー賞でも完全に無視される結果となった。ワインスタイン兄弟としてはプロデューサーの権限で大幅にカットし、単体にまとめた短縮版を公開したかったことだろう。しかしタランティーノとの契約で、編集権は全て監督に帰属するという条項があったために手も足も出せなかったという訳だ。

第一部は故・深作欣二監督に捧げられ、やくざ映画であるとか「女囚さそり」や「修羅雪姫」など梶芽衣子主演の1970年代日本映画へのオマージュが全編を彩っていたが、今度の第二部ではセルジオ・レオーネ監督によるマカロニ・ウエスタン(←クリック)への郷愁が色濃い作品に仕上がっており、雰囲気が見事に変化していた。今回レオーネと長年組んでいたエンニオ・モリコーネの音楽がこれでもかっ!というくらい、挿入されているのもそのことを反映している。時差公開せざるを得なくなった不利を逆手にとって、一部と二部のカラーの違いを鮮明に打ち出すあたり、タランティーノの戦略はなかなかしたたかであり、それが奏効している。

今回は男と女の物語をじっくりと見せるという趣向な様だ。サブタイトルもLOVE STORYだし。ただし、ど派手なアクション・シーンがてんこ盛りだった第一部と比較すると第二部がいささか地味な感があるのは否めない。“GOGO夕張”が出てこないのも寂しいな。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]