エンターテイメント日誌

2003年12月14日(日) 師も走る!年末一挙、大放出。

なかなか今まで書けなかったレビューを、ここでまとめて簡潔に放出しよう。今回初の試みとして作品ごとに評価のレイティングを併記した。これは 米国のYahoo! Moviesの基準に準拠してGrade ABCDFの5段階に分類。Cを並の出来とした。今年公開された作品を例に挙げると「インファナル・アフェア」や「ロボコン」がA、「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」がB、「座頭市」がC、「マトリックス レボリューションズ」がD、「戦場のピアニスト」がFといった具合だ。

「名もなきアフリカの地で」評価A-:アカデミー外国語映画賞受賞、ドイツ映画。まず、この映画の制作者たちのアフリカへの愛情が画面から滲み出ていて好印象を覚えた。アフリカを舞台とした映画は今まで沢山観たが、観賞後に「嗚呼、アフリカに往ってみたい!」と心から想ったのは今回が初めてだ。ナチスを逃れてケニアに渡ったユダヤ人一家。当初は現地に馴染もうとする父親と、ドイツでの生活様式を頑なに守ろうとする母親の対立が描かれるが、その両者の立場が時を経るとともに微妙に変わっていく課程がすこぶる面白い。「戦場のピアニスト」みたいに批判することを許されない絶対弱者・絶対被害者としてのユダヤ人を描いていないところが良い。主役の女の子が可愛い。子役が成長して役者が入れ替わると、そのイメージが崩壊する例がしばしばあるが、この映画では違和感なく成功している。また、料理人の<オウア>が何とも味のあるもうけ役。渋い、惚れた。

「ラスト・サムライ」評価B:とにかく渡辺謙、彼に尽きる。これぞ武士道。さらに真田広之、小雪ら日本勢の役者たちが実に好演。またハリウッド映画にもかかわらず、日本に対する描き方が好意的でこれは意外な拾いものであった。映像は雄大で美しく、音楽を担当したハンス・ジマーも久しぶりに良い仕事をした。ただ、ニュージーランド・ロケはやはり「どこが日本ゃねん!」と突っ込みを入れたくなったなぁ。だってあんな広大な草原は日本にないし…。

「フォーン・ブース」評価C+:男臭い戦争映画の傑作「タイガーランド」のジョエル・シューマッカー監督とコリン・ファレルが再びタッグを組んだ作品。電話ボックスという限定された空間で展開されるサスペンスがスプリット(分割)画面などのテクニックを駆使しながら一気呵成にクライマックスへとなだれ込む。短い上映時間が小気味よい。シューマッカーとしてはこういう舞台みたいな設定でいかに観客を飽きさせないかという実験であったろうし、ファレルにとっては一人芝居みたいな状況における自分の役者としての腕試しの場でもあったのだろう。そういう試みという意味ではこの作品は見事に成功している。しかし、映画の最後に登場する真犯人の動機が曖昧で、まるで彼が「エンゼル・ハート」に於ける<悪魔>みたいな設定だったのが納得いかなかった。シューマッカーには来年クリスマス・シーズンに公開が決まっているミュージカル映画「オペラ座の怪人」に期待しよう。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]