エンターテイメント日誌

2003年12月17日(水) 日米アニメ対決! <グレートバリアリーフ編>

ピクサーの新作「ファインディング・ニモ」が日本で公開2日間の動員数、興行成績において「千と千尋の神隠し」の記録を塗り替えたとの報道がマスコミを騒がせた(←詳細はここをクリック!)。しかし、これはペテンである。こんなインチキに騙されてはいけない。是非ここの記事を読んでもらいたい。ブエナビスタが発表した動員数90万人、興収11億1620万円という数字は、なんと先行上映3回分を含んでいるのである。一方で「千と千尋」は先行上映を全く行っていない。つまり「ニモ」の先行3日間+初日・2日間=5日間の成績と、「千と千尋」の純粋な2日間の成績とを比較しているのである!無茶苦茶な話だ。結局実質的には「ニモ」は「千と千尋」に全く勝ってなどいないのである。今後是非、興行成績の計算は先行上映を対象としない集計法に改めてもらいたい。だって今度は「ニモ」の記録を塗り替えようと想えば、先行上映を5日間くらいすれば簡単に出来るでしょ(笑)?

まあ、それはさておきCGアニメーションとしての「ファインディング・ニモ」の出来はパーフェクトである。幼児・小学生を対象の作品と考えれば100点満点だ。僕の評価はA-。何でマイナスが付くかといえば、それは成熟した大人を対象に考えた場合、物語が物足りないから。ただそれだけだ。しかし、アニメーションは本来子供たちのためのものだし、そんな保留は些事に過ぎない。

とにかく映像の美しさに目を瞠った。従来CGというメディアは水を描くことを苦手としていた。光の屈折による歪みや反射を表現することが極めて難しいからだ。それをこうして見事にクリアした「ニモ」のスタッフには惜しみない拍手を送りたい。また、ストーリー・テリングの巧さも特筆すべきだろう。要所要所で登場するキャラクターがそれぞれ実に魅力的に愛情を込めて描かれているのが素晴らしい。脚本の練り上げがお見事。ヒッチコックの「サイコ」と「鳥」のパロディには大爆笑。バーナード・ハーマンが作曲したあの有名な音符まで飛び出してきて驚いた。大人の観客への目配りも抜かりない。さすがピクサーだ。今のディズニーには到底敵わない芸当である。

余談だが未だに「ピクサー映画」を「ディズニー映画」と混同する無知な輩は生息しているのだろうか?これはくどいくらいに当日誌で何度も書いているのだが、ディズニーが配給したら「ディズニー映画」になるのなら「千と千尋の神隠し」もディズニー映画だ。そんなの変でしょ?

長くなったので後半は後日。Coming soon...


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]