エンターテイメント日誌

2003年09月29日(月) 金髪の<市>

北野武の「座頭市」を観た。意外に金髪の主人公が時代劇に違和感なく溶け込んでいた。そんだけ!(by ペコ「ピンポン」)


・・・でまぁ、そんだけじゃこの日誌の愛読者に申し訳ないのでもう少しだけ。

北野武という監督はその処女作「その男、凶暴につき」から、物語を語るという行為を端から放棄している。その姿勢は「座頭市」でも変わらない。例えば浅野忠信が演じる浪人の妻(夏川結衣)なんか全く必要のないキャラクターである。かえって浪人が独り身の方が物語がすっきりするだろう。それから悪党の陰の親玉は誰か?というミステリ仕立てが全く機能していない。だって顔を隠しても声が柄本明だって最初からバレバレだもん(笑)。あ、これネタバレじゃないからね。だってそれに気付かないなんてよっぽど鈍い間抜けしかいないから。あと親を殺されて復讐に燃える姉弟の詰まらないエピソードがだらだらと長すぎる。くどい!‥という訳でベネチアで賞を獲ったからって恐れをなして誰も正面切って書いてないけれど、僕はここに宣告する。この映画の脚本は屑である。いつも通り北野のギャグは冴えなくて笑えないし。北野武をあたかも神のように崇拝するヨーロッパ人ども(+それに追従する日本のマスコミ)の神経が僕には全く理解不能である。

確かに土砂降りの中の決闘シーンなど映像はスタイリッシュだ。でもそんだけ。この主人公、ターミネーターみたいに強すぎてカタルシスが全くない。アッサリ瞬時に決着がついちまう。時代劇にタップなどミュージカルを盛り込んだことが話題になっているが、所詮STOMPの真似だしねぇ。嘘だと想うならここの"watch trailer"をクリックしてごらん。まあ僕は根っからのミュージカル大好きっ子だから、愉しまなかったと言えば嘘になるけれど。確かにSTOMPと時代劇と融合させるというアイディアは悪くなかった。以上。


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]