エンターテイメント日誌

2003年09月27日(土) 加椰子 rebirth <呪怨2>

さあ、溜まったレビューを手短に、短期間で一挙放出。

東映ビデオからオリジナル・ビデオ(OV)として発売された「呪怨」は背筋が凍りつくような掛け値なしの傑作だった。「リング」に匹敵するジャパニーズ・ホラーの代表作。何と言っても猫少年こと俊雄クンと加椰子のキャラクター造形が傑出していた。「怪猫有馬御殿」など入江たか子さんの化け猫シリーズからの日本怪奇映画の伝統を引き継ぐというその心意気も清々しかった。

しかし、劇場版「呪怨」の出来にはがっくり来た。まず虚仮威しで底の浅い清水監督のショック演出が、ワン・パターンでちっとも怖くない。映画半ばで飽きてきて、寧ろ失笑してしまう。不気味でなければいけない俊雄クン役が今回は可愛らしい男の子で、これも幻滅。予算が増えて奥菜恵や伊東美咲などアイドル女優が出演するので演出が遠慮がちで、思い切ったエグイ描写が出来ていない。そして前作ではどうして加椰子や俊雄クンが人々を襲うのか、その理由が曖昧で、不条理な恐怖があったのに、劇場版では説明過多でかえって理に落ちて詰まらなくなってしまった。

だから「呪怨2」には全く期待していなかったのだが、今回はなかなか頑張っており失地回復していた。オリジナル・ビデオ版の恐怖を100%とすると、劇場版「呪怨」の出来が60%、「呪怨2」が85%くらいか。まずのりピーという旬の過ぎた、今では売れていない元アイドル(=二流のタレント)を起用したのが成功した。演出に遠慮がなくなり最後はぐちょぐちょの血まみれ!よくぞここまで頑張った。加椰子や俊雄クンの攻撃も理不尽さを取り戻した。時間の流れを細切れの断片にして、それをシャッフルしパズルみたいに並び替えて(時間軸をずらして)観客に提示するというやり方はOVからのこのシリーズの特徴だが、今回はそれが効果的に活かされていて物語に工夫があった。恐怖の見せ方にもバラエティが出てきて飽きさせない。まあ、最後の落ちは初めからミエミエとは言え、なかなか情け容赦がなくて面白かった。


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]