エンターテイメント日誌

2002年08月21日(水) SPIRITED AWAY(千と千尋の神隠し)全米公開迫る!

いよいよ全米公開が9/20と迫ってきた宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」ことSPIRITED AWAY公式サイト(←クリック!)がオープンした。英語版の予告編もこちらで観ることが出来る。

思い起こせば「もののけ姫」ことPRINCESS MONONOKEがアメリカで公開された時、周囲の期待とは裏腹に上映館は100数館にとどまった。これは同時期に全米公開されたポケモンが1,000館を軽く越えたことを考えると惨敗に終わったと言わざるを得ないだろう。だからディズニーが引き続きヒットを狙ってオール・スター・キャストの声優陣で製作した「天空の城ラピュタ」英語版 = CASTLE IN THE SKYの劇場公開が白紙撤回され、かといってビデオ発売もままならず中ぶらりんの状態が今も続いている事態に至ったのは、些か仕方ない側面もあるのである。

しかし今度のディズニーは本気である。PRINCESS MONONOKEがディズニー傘下の子会社ミラマックス配給だったのに対してSPIRITED AWAYは堂々とWALT DISNEY STUDIOS PRESENTSと銘打っている。これは「モンスターズ・インク」などピクサー社作品同等の扱いだ。しかも英語版の製作総指揮を担当したのが「トイ・ストーリー」シリーズの監督ジョン・ラセターなのだから頼もしい。ラセター監督は宮崎アニメに心酔している大の日本びいきで(それはラセターが製作総指揮にあたった「モンスターズ・インク」でも顕著だろう)、来日時には宮崎監督と親しく交友するという間柄だから「今度こそは絶対に親分に恥はかかせられねぇ。」と男気を奮い立たせ、背水の陣で臨んでいることは想像に難くない。今回はディスニー+ピクサーという万全のバック・アップ体制であるからMONONOKEの二の舞いにはきっとならないと信じる。

宮崎さんの最高傑作ラピュタに比べると「千と千尋の神隠し」は純日本的要素が色濃いから、その東洋的エキゾチズムがヨーロッパ同様にアメリカでもすんなりと受け入れられるのかどうか不確かではある。しかしSPIRITED AWAYにはどうしても大ヒットしてもらわないと困るんだよね。その成功か否かが「天空の城ラピュタ」もアメリカで劇場公開されるかどうかの命運を握っているのだから。あっちの連中にジャパニメーション(というか宮崎アニメ)の真の凄み、その完成度の桁外れの高さを思い知らせてやりたい!

ところで貴方は「千と千尋の神隠し」DVDを購入しましたか?画面に赤みがかかっているとのクレームがジブリや発売元のブエナビスタに殺到。返品騒動にまで発展している。各スポーツ紙や産経、毎日新聞など一般紙もこの事態を一斉に報道した。ある週刊誌からは宮崎さんは共産主義思想の持ち主だから、アカく染めたのではと揶揄される始末。

これに対してジブリ側の公式見解ではあの「赤い画面」は元々製作者の意図した色合いとのことだが、そんな筈があるわけがないだろう。僕は店頭で上映していたサンプルのDVDで確認したが誰がどう見たって色彩調整の失敗である。劇場版と全然違うのだ。しかし日本で最も出荷枚数が多いDVDである。全商品回収という事態に至れば大変な損害を被ることは日の目を見るより明らかだ。だから口が裂けても<欠陥商品>という事実を公表出来ないのである(その実、裏ではブエナビスタに直接苦情を申し立てさえすれば返金に応じてもらえるそうである)・・・という訳で僕は購入を見送った。

ジブリがこの落とし前をどうつけるのかは分からない。黙って新たな出荷分からカラーの再調整をして出すのか、あるいは「特別版」とか銘打って再発売するのか。まあ、もしそういう動きがなければアメリカ版のDVDが出るのを待てばいいかな?とも想っている。さすがにアメリカ版まで悪評高い「赤い画面」のままでは出さないだろう。当然日本語音声も選択出来るはずだし。

あ、アメリカのDVDソフトはリージョン・コード1で、リージョン・コード2の日本製プレーヤーでは再生出来ないので同じことを考えておられる方は気をつけて。ちなみにわが家にはリージョン1専用DVDプレーヤーも準備が整っておりまする。


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]