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夢の図書館新館

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-- 2004年05月10日(月) --

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『新版 指輪物語3旅の仲間(下1)』

文庫の第3巻で登場するのは、美しい人たちが多い。 裂け谷の領主で半エルフのエルロンド。 その娘で、絶世の美女アルウェン。 エルフ王スランドゥイルの王子で弓の名手、レゴラス。 ゴンドールの執政の息子、ボロミア。 美しくはないが(笑)、ドワーフのギムリ。 こうして、旅の仲間が集まってゆく。

エルロンドの館に逃げ込んだフロドや 馳夫(アラゴルン)たちの一行を交えて、会議が開かれる。 ガンダルフも到着していた。 この恐ろしい指輪をどうするのか、誰が捨てにゆくのか、 それとも捨てずに持っているべきなのか、会議の展開は、 現実の世界でもかくあってほしいと思わされる。

一つの指輪は、すべてを統べ、一つの指輪は、すべてを見つけ、 一つの指輪は、すべてを捕えて、くらやみのなかにつなぎとめる。 (引用)

そして、フロドはとうとう申し出る。 「わたしが行きます」と。

エルロンドは言う。

「しかし、世界の歯車を動かしてきた功業は、 しばしばこのような課程をたどるものよ。 大いなる者の目がよそを向いている時、小なる者の手が、 やむにやまれずして、それをなし遂げるのだ。」 (引用)

指輪の使命を帯びるのは人間の英雄ではなく、 美しいエルフでもなく、魔法使いでもなく、 子どものような背丈のホビット族であった。 食べること、歌うことに人生の楽しみを見る、 平和な村の、小さな人々。 そのことに、全員が納得したのだ。

裂け谷を出発した一行は、吹雪のなかを迷走し、 赤角口と呼ばれる山道からの山越えをあきらめ、 別の道、つまりモリアの壁をくぐり、ドワーフの地下坑道、 まっくらな世界へと入ってゆく。

ドワーフたちの栄華はすでになく、 どんな魔物が棲むかわからない、暗闇のなかに。

かつてフロドの身内のビルボも経験した、あの暗闇。 でも、ここには仲間が一緒にいる。 ビルボのように、いつのまにか独りにはされない。 その明かりを頼りに、安心しながら読み進む。 (マーズ)


『新版 指輪物語3 旅の仲間(下1)』 著者:J・R・R・トールキン / 訳:瀬田貞二・田中明子 / 出版社:評論社1992

2002年05月10日(金) ☆リンダ・ハワード・リーディング(その4)
2001年05月10日(木) 『ものがたりの余白─エンデが最後に話したこと─』

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