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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年11月20日(木) --

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『おひめさまえほん』

あの高橋真琴(まこと)の絵で、 新しい『お姫様』のシリーズ絵本が出ている! しかも一冊300円の安さ!全部そろえても5冊で1500円! 文章を書いている作家もベテラン揃い。 これは自分のためだけではなくて、子や孫の代まで 値打ちが伝えられるものだから、ぜひ買わねば。

と、そんな決意で買ったのはもうはるか昔、 1982年ごろのことだった(第1刷を持っている)。 正確にはシィアルと分けて買ったので、手元には3冊しかない。 書店の前の回転式の什器に、いろんな子ども向け絵本とともに (もったいなくも)置かれていた『おひめさまえほん』。

本を見て、まだ消費税がなかったことを思い出す。 300円といえば、300円だけで買えた時代だった。 500円硬貨が初めて流通した頃でもある。 当時、今のような高橋真琴ブームがあったのかどうか定かではない。 ただ、子ども向け雑誌などで親しんだ懐かしいイラストレーターの 新刊が、今ごろになって手に入るとはラッキーと思った記憶がある。 ちなみに、初めての作品集だったという画集『あこがれ』は 1995年刊行で、こちらも持っている。

それが、ここに来て復刊されるというニュース。 高橋真琴ブームもあって、鳴り物入りである。 12月中旬から発売されるらしい。 しかも、箱入りセットで、4900円。 3倍以上の値段になって帰ってくるのだ、なんと。 以前の本は300円だけあって、印刷はあまり美しくなかった。 紙の質からしても、300円で40ページの限界だったのだろう。 今回の版では、おそらく、原画のデリケートさを、より 忠実に再現しているにちがいない。

ディズニー映画のプリンセスにとどまらず、 今、世の中はお姫様ブームなのだそうだ。 そういえば最近のゴシック・ロリータ系雑誌でも、 高橋真琴が表紙になっていたっけ。

高橋真琴は、お姫様を描いて!という求めに応じて、 シンデレラもおやゆび姫も、何度も描いたことだろう。 たとえば、今回のシリーズに登場する「おやゆびひめ」も、 画集『あこがれ』のなかで紹介されているものとは、 時期は近いが別の作品である。 画集のほうは、1981年に『よいこ』7月号に掲載されたもの。 印刷の仕上がりは画集が上(300円の版に比べて)だが、 絵そのものは、この『おひめさまえほん』のほうが素敵に見える。

なぜか彼の描く王子様には思い入れがないのだが、 女の子が自分自身を投影する分身のヒロインとして、 「はかなさ」や「いじらしさ」を一身に映し出すあの姿は、 かけがえのない美の基準を、私たちの胸に植え付けたのだった。 (マーズ)


『おひめさまえほん』 著者:武鹿悦子・立原えりか他 / 絵:高橋真琴 / 出版社:小学館1982(絶版) 復刊『おひめさまえほん』 / 出版社:小学館2003

2002年11月20日(水) 『シルクロードの鬼神』その1
2001年11月20日(火) 『なぞのうさぎバニキュラ』
2000年11月20日(月) ☆ 訂正記事

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