HOME*お天気猫や > 夢の図書館本館 > 夢の図書館新館

夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2003年11月17日(月) --

TOP:夢の図書館新館全ての本

『帰ってきたメアリー・ポピンズ』

メアリー・ポピンズ、第ニ作。

帰ってきた、帰ってきた! しかも、思いもかけない方法で。

ジェインとマイケル、双子のジョンとバーバラのもとへ、 あの完璧なナニーが!

子どもたちの想像をかるがると超えてしまうくらい、 すばらしいファンタジー世界をのぞかせてくれるのに、 後でその話をすることを絶対に許さないメアリー。 まったく関係ない、知らない、私を侮辱してるのか?と怒りだす。 でも、どこかに、きらっと光る証拠が残っていて、子どもたちは 目くばせをして納得するのだ。 本気で怒るその様子が、昔お世話になった学校の先生方を 思い出させる。怒るべきだから怒っているのと違って、 本気で怒っているので、口が出せないのだった。

二作目の本書では、メアリーと子どもたちのたずねる 不思議な世界も、さらにスケールアップして、 しかも神聖なムードを色濃くもって描かれている。 生きること、死ぬこと、変わること、変わらないこと。

バンクス家の生まれたての赤ん坊とムクドリとの おなじみのやり取りも、さらに深みをおびてくる。 赤ん坊の最初の泣き声が、どんな悲しみを知ってのことか、 私たちがどうやってここにやって来たのか。 そんなことも、メアリーだけはすべて忘れない。 けれど、メアリーがだれなのか、それは誰にもわからない。 いつも何を考えているのやら、普通の大人とまったくちがう 人だということぐらいしか、私たちにはわからない。 メアリーがいつかまた帰ってきて、そして どんな夢を見せてくれるのかも。

「いつも、ほんとのことだけ、いうようにしています。」(/引用)

と得意そうに言うのも、ある意味、嘘ではない。

メアリーが見せてくれるのは、不思議な世界だけではない。 何でもファンタジーの砂糖衣で甘くするのではなくて、 しつけには相当に厳しい。 失礼な人にも負けていないし、誰にも自分の打ち明け話などしない。

そして、「かまうもんか!」と子どもが生意気を言うと、 メアリー・ポピンズは、こう言ってからかうのだ。

「かまうもんかが、かまわれた!かまうもんかが、ちゅうぶらりん!」 (/引用)

(マーズ)


『帰ってきたメアリー・ポピンズ』 著者:P・L・トラヴァース / 絵:メアリー・シェパード / 訳:林容吉 / 出版社:岩波少年文庫2001(新版)

2000年11月17日(金) 『翻訳はいかにすべきか』

>> 前の本蔵書一覧 (TOP Page)次の本 <<


ご感想をどうぞ。



Myエンピツ追加

管理者:お天気猫や
お天気猫や
夢図書[ブックトーク] メルマガ[Tea Rose Cafe] 季節[ハロウィーン] [クリスマス]

Copyright (C) otenkinekoya 1998-2006 All rights reserved.