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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2002年02月05日(火) --

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『アラバマ物語』

原題は『To Kill A Mockingbird』。 ものまね鳥を殺しに、とは何を意味するのか?

米南部アラバマ州の古い町、メイコーム(架空の町)を舞台に、 成長期の子どもを抱えた弁護士一家の 内と外を緻密に描き、世界で11ヶ国語に訳されたという ベストセラー。

この複雑な物語を語るのは、娘のスカウト。 男のようにオーバーオールを着て、喧嘩っ早い。 兄のジェム、父のアティカス・フィンチと暮らしていて、 母はすでに亡い。兄妹は、父親をアティカスと呼ぶ。 映画化され、理想的な父、かどうかは別として、 公平で勇気ある理想的な弁護士アティカスを グレゴリー・ペックが演じ、アカデミー賞の主演男優となり、 スカウト役のメリー・バーダムも好評を博す。

後半の法廷シーンで重くのしかかってくる黒人と白人の関係、 隣人どうしのしがらみ、歳月と街の姿、強さと弱さ、 そして家族の関係。 そしてさまざまな事件を通し、女性たちの社会に入ってゆく自分を 覚悟する、スカウトの成長。

暮しの手帖社(広告を取らない雑誌社)の独特な雰囲気も 手伝って、なんとも不思議な先入観のある本だった。 そこには何らかの恐怖すら、ひそんでいた。 それは私だけの危惧だったと思うが。 これはシィアルに借りた本で、夢の図書館本館にも 紹介されているので、名作だとは思っていたが、 あえて、外見と内容はちがっていたと 書き添えておきたい。

これは子鹿物語ではなかったし、 単なる法廷ものでもない、育児のお手本でもなければ 南部の街の年代記でもない。 複雑で、こみいっていて、詩的で、巧み。 それでいて、大人への入り口にいる子どもにとっても 大人そのものにも、この本は受け入れられる。

黒は黒、白は白だけではないもの。 西洋のそれよりも、東洋のそれに近いあいまいさ。 真実はひとつではなく、その人の価値観の数だけ あってもいいと。 子どもの目を通して書かれた日常こそ、 百の歴史資料よりも確かに、その国を 物語る力をもっているのではないか。 (マーズ)


『アラバマ物語』 著者:ハーパー・リー / 訳:菊池重三郎 / 出版社:暮しの手帖社

2001年02月05日(月) 『私家版』

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