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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年11月30日(金) --

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『クリスマス人形のねがい』

☆いちばんすてきな奇跡の物語。

世界でいちばん、すてきな奇跡はなんだろう? 女性のほとんどは、「出会い」と答えるのでは ないだろうか。 星の数ほどいる人のなかで、求めている相手どうしが 磁石でひかれるように、タイミングよく出会ってしまえるのが この世界の法則みたいだ。 それがわかるには、何年も何年も生きなければならない。 あるいは、疑うことなく、ただ信じるだけだ。

そして、クリスマスイヴともなれば、 その出会いはとても偶然とは思われない。 寂しい人たちにとって、物語のなかであっても 奇跡を信じられることは、すばらしい贈りもの。

この物語は、ゴッデンの古い短編をクーニーの挿絵で 絵本として新しく出版された。(クーニーは2001年に他界) 『人形の家』でもおなじみの「おもちゃ文学」の巨匠・ゴッデンが描く、 とびきりの奇跡は、出会いと願いの物語。

クリスマス人形のホリー(ヒイラギ)を主人公に、 もうひとりの主人公、孤児の女の子アイビー(ツタ)との出会いのお話。 おもちゃはおもちゃ屋さんのなかではまだおもちゃではなくて、 誰かの家に行ってはじめて、おもちゃとして生きることができる。 だから、クリスマスのおもちゃたちは不安とたたかっている。

涙なしでは読めないのではないかと心配していたが、 主人公はどちらも気丈でけなげで、希望を捨てることはない。 希望を捨てたときだけが、敗北のときだと知っているかのように、 明るい未来を信じている。 泣かないセンチメンタリズムは、どこかハードボイルドめいてくる。 実際、アイビーの境遇や体験は、幼い少女には過酷である。

くじけそうな希望に疑いのクチバシを突っ込むやからもいて、 すべては終わったかのように感じられる瞬間。 それでも出会いを信じられたならば。 ホリーがきっと、助けてくれる。 あなた、アイビーが、まっすぐ前を見ていられるように。 (マーズ)


『クリスマス人形のねがい』 著者:ルーマー・ゴッデン / 絵:バーバラ・クーニー / 訳:掛川恭子 / 出版社:岩波書店

2000年11月30日(木) 『裏庭』

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