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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2001年11月09日(金) --

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『神様』

「猫屋」に久しぶりに来ている。

はい、いらっしゃいませ。 ‥‥いや、うちじゃなくて川上さん (とは名乗っていないけれど語り手の「わたし」) が来ている「猫屋」は、おばあさんが 一人でやってる飲み屋さんです。 手作り梅漬けの梅と梅酢を入れた 焼酎のお湯割りを出してくれます。

『神様』は川上さんのいつもお馴染みのいかにも普通で とても自然な異界のものとの静かで素頓狂な交流記です。 ただこの短編集はシリーズで一つのテーマというか トーンが割合はっきりと現れていて、 話の順番もその度合いが増すように並んでいます。

(淋しい。)
(一緒にいたい。)

ところで、「淋しい」の反対って何だかわかりますか? 川上さんの場合「おいしい」みたいですよ。 だから外でくまと一緒にくまの心尽しのお弁当を食べたり 死んだ叔父さんと一緒に叔父さんの好物を食べたり 壷から出て来る娘とイタリア料理を食べたり ウテナさんも乱入して酒宴になったり いつまでも一緒にいたいな。 でもみんな自分とは違う存在だから

やがてはみんな遠くへ行ってしまう。

川上作品の場合一緒に居る相手は どんな奇天列なものだってアリなんですが、 この淡々としたせつなさの相手が たまたま人間で男だった場合は ラブ・ストーリーになります。 歳が30歳以上違ったって男は男、 だから川上さんの新作『センセイの鞄』は 第37回谷崎潤一郎賞を受賞しました。 (ナルシア)


『神様』 著者:川上弘美 / 出版社:中公文庫
『センセイの鞄』 著者:川上弘美 / 出版社:平凡社

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