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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2000年09月26日(火) --

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『柿の種』

この本は、他の随筆集と比べると、普段着の言葉だそうだ。 普段着のせいか、いっこうに読み進まない随筆と 違いすらすらと読み進む。 すらすら読み進むが、普段着とはいえ、 視点は科学者の目で、さりげなくも鋭く、 また愛情深く、感嘆する。

猫派の私としては、所々に書かれた愛猫の話に、 いちいち頷き、凡人も科学者も猫好き(猫馬鹿)に かわりはないなあ、なんて、親しみを覚える。
(→参考:「三毛の墓の歌」)

何気ない日常を振り返ると、その何気ない日々が かけがえのないあれやこれやで満ちていることに気づく。 幸せという相対的な価値観を絶対的なもので測ろうとした、 あの頃は苦しかったなあ、と「柿の種」を読み終えて、 しみじみと感じた。(シィアル)
981105


『柿の種』 著者:寺田寅彦  / 出版社:岩波文庫

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