昼間、いつものように歩いていると、小学校の周りにやけに車が駐まっている。 何かやっているのだろうかと校門のほうを見てみると、そこには日の丸が掲げてあった。 なるほど、今日は卒業式だ。 そういえば、正装をした父兄らしき人を、何人か見かけた。
卒業式か…。 ぼくが小学校を卒業したのは1970年3月18日だった。 ということは、あれから37年経つわけだ。 その式の最中、ぼくたち男子はふざけたり、『仰げば尊し』を替え歌で歌ったりしていた。 こんな具合だったので、泣いたりはしなかった。 だが、担任の先生に全員で最後の「先生さようなら」を言った時は、けっこうこみ上げてくるものがあった。
そういえば、今日の卒業式、校門の前に揃いのジャンバー着た人が何人か立っていた。 手にはビニールの手提げ袋を持っている。 そのジャンバーの背中に何か文字が書いていた。 遠くからだったのでよくわからなかったが、目を凝らして見てみると、どうやら「DOCOMO」と書いているようだ。 ということは、近くのドコモショップの人たちだろう。 おそらく中学に上がる記念(?)として、携帯電話を買わせようとしているのだろう。
ぼくたちの時代にはなかった光景である。 まあ、その時代だから、携帯電話自体がなかったわけだが、他のものを売りつけようと待ち伏せしている人もいなかった。 そういうものに初めてお目にかかったのは、中学や高校の卒業式の時だ。 その時には、予備校のパンフレットや英会話のパンフレットを持った人が多数立っていた。
その後のことだが、ぼくが社会に出た次の年に、職場近くの高校で待ち伏せしたことがある。 それは入学発表の日で、オーディオやパソコンといった合格祝い品の載ったカタログを配ったのだった。 あの時は、他の店の人も同じようにカタログを配っていたが、なぜか先に配り終えたほうが勝ちみたいな競争になってしまい、負けまいと必死に配ったのを覚えている。
ところで、今日卒業した小学生の何パーセントかの生徒は、一年も経たないうちに髪の色が変わり、昼間学校も行かずに徘徊したり、夜中コンビニあたりでバカ騒ぎするようになるだろう。 そういう子は卒業せずに、ずっと純な小学生のままでいてほしいと思う。
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