| 2006年09月13日(水) |
還暦デビュー?(7月5日夢見頃より) |
金曜日(6月30日)のことだった。 若い頃いっしょにアルバイトをやっていた先輩から電話が入った。 ぼくの夢を知る、数少ない人の一人だ。 何の用かと思ったら、突然 「おまえ、曲作りという夢があるのに、いつまでもサラリーマンにしがみついとったらいかんだろう」と言う。 「そりゃそうやけど、その夢にたどり着く手立てを知らんのよね。昔なら、オーディションとかコンテストとかいう手もあったけど、今はシンガーソングライターの、シンガーの部分は捨てとるけね。曲だけで売り込む、何かいい方法はないかと探しよるんやけど…」 「今日電話したのはそのことなんやけど」 「えっ?」 「おれの知り合いに、音楽関係の人間がおるんよ。この間、用があって電話した時におまえこと話してみたら、『会ってみたい』ということになったんよ。おまえ、明日都合はいいか?」 「明日?うん、別に用はないけど」 「そうか、じゃあ、明日会おう」 ということで、土曜日の昼間に会うことになった。
さて、その音楽関係の方というのは、プロよりもアマチュアに顔の利く人らしかった。 自分でも音楽をやっているらしいのだが、コピーが中心で、オリジナルにはあまり興味がないとのことだった。 「で、あんたは、どういうふうに進んでいきたいわけ?」 「元々はシンガーソングライターを目指していたんですけど、年から言って、もうシンガーは難しいでしょ?」 「そうやね。40代の後半なら難しいやろうね」 「で、シンガーの部分を外したところで考えたいんですけど」 「ああ、ソングライターでやりたいということね」 「ええ」
「何か活動やってる?」 「企業に歌を売り込んだり…」 「企業に?」 「ええ。その会社のCMに自分の歌を使ってもらいたいとか」 「ああ、それはいいね。他には?」 「似たところで広告会社に売り込んだり…」 「なるほど…。レコード会社とかには売り込まんかったんね?」 「自分で歌っていた頃は、それもやったんですけど」 「どういうふうに?」 「その頃、会社のレコード部門にいたんですよ。それで、レコード会社の営業にデモテープ渡して、制作の人に聴いてもらえるように頼んでましたね」 「ダメやったろ?」 「はい。ダメでした」 「そうやろね。あいつら聴かんもんね」
「何か方法はないんですかねえ?」 「うーん、難しいなあ」 「難しいですか…」 「方法がないことはないんやけど」 「えっ、あるんですか?」 「うん。バンドやったらいいよ」 「バンドですか?」 「そう、バンド作って、ライブやって、自分の歌を売り込むんよ」 「弾き語りじゃダメなんですか?」 「だめ。インパクトが違ってくる」 「そうですか…」
バンドで自分のオリジナルを演る。 …って、それではシンガーソングライターではないか。 やはり、歌をうたうしか方法はないのかなあ…。 元々ぼくは歌が上手い方ではないし、それに加えて年齢が声の伸びを奪ってしまっている。 これを克服するには、かなり時間がかかるだろう。 とはいえ、それしか方法がないのなら、それをやっていくしかない。 しかし、ぼくはずっと弾き語りでやってきたから、バンドなんてやったことがないのだ。 バンドやるとなると、音も合わせないとならないし…。 これは時間がかかりそうだ。 還暦デビューなんて嫌だなあ…。
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