(1) 姓名判断に『後家数』と呼ばれる画数がある。 その画数を持った女性の多くの人が、離婚したり、離婚はしないまでも別居したていたり、行かず後家だったり、悪い時には死別したり、という経験をしている。 あえてその画数をここには書かないが、その画数を持った人に共通して言えるのは、心のどこかに、男を見下している部分があるということである。
(2) 10年ほど前に、母の知り合いから「娘の名前を観てくれ」と頼まれたことがある。 その娘はその1年前に結婚していた。 そのため、最初は娘を心配しての親心だろうと思っていた。
さて、頼まれはしたものの、ぼくは基本的に人を占うことは好きではない。 そこで、「占いはしませんから」と断った。 ところが、「どうしても」と言ってきかない。 そこには、その人の母親もいたのだが、二人して頭を下げる。 さらにそばにいた母も頼みだした。 そこで、渋々観てやることになった。
名前を観たとたん、ぼくは絶句した。 その娘は『後家数』を持っていたのだ。 それに、性格がえらく強い。 最悪の名前だった。 そのため、何と言っていいかわからなくなって、ぼくはしばらく黙っていた。 するとその人は、しびれを切らしたかのように「どんなに悪くてもいいから、言ってくれ」と言った。 「いや、まだ未熟ですから、どう説明していいのかわからないので…」 とぼくは言葉を濁した。 しかし、相手はしつこく「言ってくれ」と言う。
そこで、ぼくは口を開くことにした。 「はっきり言うと、娘さんは家庭向きの人ではありません。性格がちょっときついみたいですね。男を見下すようなところがある。ご主人との相性も悪いみたいですし、先方の両親ともうまくいっているようには思えない。つまり、孤立しているわけですね。…もしかしたら、近々戻ってくるかもしれませんよ」 すると、その人は横にいた家の人と、意味ありげに目を見合わせ、苦笑していた。
「これは何かあるな」と思っていたら、案の定、その件で連絡が入った。 「娘が別れて戻ってきた」と言うのだ。 連絡を受けた母が「何でまた…?」と聞くと、その人は、 「理由は、前にしんた君に占ってもらったとおりなんよ。あの時、すで別れ話が出ていて、確認の意味で観てもらったんやけど…」ということだった。 ぼくが占ってから、数ヶ月後のことだった。
(3) ぼくの知り合いに二人姉妹がいるのだが、二人とも同じ画数だった。 それも後家数…。 どちらも性格が強く、特に妹のほうは極端で、完全に男を見下していた。 で、二人はどうなったかというと、姉の方は若くして夫と死別し、妹の方は若くして離婚した。 で、今はどちらも一人暮らしをしている。 こういうふうに、『後家数』というのは、実に強烈なのである。
(4) こういう話もある。 何年か前にある女性から、 「わたし、夫と離婚して一人でやっていきたいんだけど、それが可能になる名前ってある?」と聞かれたことがある。 「そういうのはありません」 「後家運というのがあるでしょ。名前でそういうはないの?」 「何で、不幸を欲しがるんですか?」 「わたしにとっては、それが不幸じゃないんよね」 「しあわせということですか?」 「そう。ね、教えて」
あまりにしつこく言うので、気は進まなかったが、『後家数』を教えてやることにした。 「これで、離婚できる?独り立ちできる?」 「本人の努力次第です」 その後、その人とは会ってないので、今どうなっているのかは知らない。 が、その名前を使って、コツコツと独立に向けて頑張っていたという話は聞いた。 しあわせの形は、人それぞれである。
|