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2006年08月01日(火) 今日の運勢が良かった蚊

ぼくはマンションの6階に住んでいる。
エレベーター待ちのイライラという欠点さえ目をつぶれば、あとは長所だらけだ。

長所を上げれば切りがないが、何よりもいいのが、この季節である。
昼でも夜でも、思いっきり窓を全開できるのだ。
何度も書いているが、ぼくと嫁ブーはエアコンがダメである。
とはいうものの、暑すぎるのも耐えられない。
そこで窓を開けることになる。
この階数だと、けっこういい風が入ってくるのだ。

さらにいいのは、蚊が入って来ないということだ。
マンションの横にちょっとした竹藪があるため、ヤブ蚊が発生しやすい。
おそらく、4階くらいまでの家には入ってくるのではないだろうか?
エレベーターを待っていると、よく蚊取り線香のにおいがすることがあるのだが、やはりけっこう多いのだろう。

さて、今日のことだった。
夜テレビを見ていると、小さな虫がぼくの目の前を飛んでいった。
ぼくは嫁ブーに「今の虫、何か?」と聞いた。
すると嫁ブーは「蚊みたいよ」と答えた。
「何で、こんなところに蚊がおるんか?」
「知らんよー。どっかから入ってきたんやないんね」
「どこから入ってくるんか?」
「あ、さっきしんちゃんがコンビニから帰ってきた時に、ついてきたんやないと?」
「ああ、エレベーターの中におったんやの」

そういう話をしていると、またしてもその虫は飛んできた。
やはり蚊である。
黒い体に、白いまだらが見える。
ヤブ蚊である。
そこでぼくは、手で叩いた。
しかし、その蚊は素早く手の間からすり抜け、逃げて行った。

それからしばらくして、今度は嫁ブーがその蚊を見つけた。
で、ぼくと同じように手で叩いた。
ところが、今度も素早く手の間をすり抜けていった。

こういうことを何度か繰り返したのだが、なかなか蚊は捕まらない。
そこで、蚊が体にとまるまで叩くのを待って、とまったところを叩きつけてやろうと思った。

目の前を、その蚊が何度か往復する。
そのうち、だんだん高度を下げてきた。
そして、思惑通りぼくの足にとまった。
「チャンスだ!」と思い、ぼくは手を振り下ろした。

ところがである。
勢いよく振り下ろした手は、蚊を潰す寸前になって、なぜかブレーキがかかり失速した。
マンガ『あしたのジョー』で、力石を死なせた直後のジョーのパンチが、そういうパンチだった。
顔面に当たる寸前で失速してしまうのだ。
そんなジョーのパンチを見て、段平は「蚊も殺せないようなパンチ」と形容した。
ということで、ぼくも蚊を殺せなかった。

その後、しばらく蚊は姿を見せなかった。
そのうちぼくたちも、蚊の存在を忘れた。
ところが、ぼくたちが見ているドラマの終わりがけになって、またもやその蚊は現れた。
またしても格闘が始まる。
しかし、今日は何度やってもだめだった。
結局、その蚊は死なないまま、まだ家のどこかにいるのだ。

例えば星占いなどは生年月日で占うが、蚊にも生年月日があるわけだから条件は人間といっしょである。
ということで、その蚊の今日の運勢は、きっと良かったに違いない。


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