頑張る40代!plus

2006年07月21日(金) 親愛なる元上司

昼間、ちょっと用があって社会保険事務所に行った。
初めて行ったのだが、人の多いこと。
ずらっとイスが並べられていたのだが、満席だった。
隣の職業安定所も、駐車場に入れない車が列を作っていたみたいだし、こういうところは不況がないようだ。
もし有料だったら、かなりいい商売になるはずである。

さて、そこで順番待ちをしている時のことだった。
あまりに待たされるので、外に出てタバコを吸っていた。
すると、遠くの方から手を振りながら、おっさんが歩いてきた。
最初は他の人に手を振っているだろうと思っていたが、どうもこちらを見ているようだ。
そこで目を凝らしてみると、何と3月まで勤めていた店の、前にいた店長ではないか。
ぼくがいつも「おいちゃん」と呼んでいた人物で、この日記にも何度か登場している。

「しんちゃーん。何しようと、こんなところで?」
「ちょっと用があって…。おいちゃんこそ、何しよるんですか?」
「いや、おれ今年59歳やん」
「もうそんなになるんですかねえ?」
「うん。でね、年金もらえんかと思ってきてみたんよ」
「遺族年金ですか?」
「いや、おれの年金」
「はぁ?もらえるわけないやないですか」
「何で?」
「65歳からでしょう。それにおいちゃんはまだ会社辞めてないやないですか」
「もらえんとかねえ?」
「もらえんですよ」
「じゃあ、カカァに聞かせる」
「そのために、おくさんまで連れてきたんですか?」
「うん」

相変わらず変な人である。
店にいた時も、その変わり者ぶりに閉口させられたものである。
仕事中に用があると、いつもこの人は、ぼくの携帯に電話をかけてきた。
同じ店内にいるのだから内線でいいはずなのに、である。
最初のうちは、わざわざ携帯にかけてくるのだから、何か人に聞かれてはいけないような重要な話かと思っていたら、そうではない。
ただのつまらん仕事の話をするだけである。
時には暇をもてあましてか、「しんちゃん、愛してるよ」と言ってかけてくることもあった。

また、こういうこともあった。
ある給料日の前日のことだった。
仕事が終わって事務所に行くと、店長が一人大騒ぎしている。
どうしたのかと思い、事務所の女の子に尋ねてみると、給与明細を見ていて突然「交通費が少ない」と言って騒ぎ出したのだという。

ぼくを見つけた店長は、「ねえ、しんちゃん、交通費おかしいやろ?」と言った。
「別におかしくないですよ」
「何で?」
「この間、ちゃんと本社から、交通費の計算法が変わると連絡があったやないですか」
「うん、あったよ。それでもおかしいやん」
「おかしいことないですよ」
そう言って、ぼくは店長に家から会社までの距離を聞き、計算してみた。

「○○円になってないですか?」
「ああ、そうなっとるよ」
「じゃあ、おかしくないやないですか」
「いや、おかしい。おれの計算じゃそうならん」
「そうならんも何も、計算の仕方が変わったんやけ、しかたないじゃないじゃないですか」
「第一、これじゃ遊びに行けんやろ」
「えっ…?」
自分が遊びたいがために、騒いでいたわけだ。

もしかしたら、今日の社会保険事務所に来たのも、自分の計算で「年金が59歳から」という答が出たからではないのだろうか?
しかも自分が遊びたいがために…。
きっと社会保険事務所の人も迷惑したことだろう。


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