週に二三度、友人のオナカ君と行動をともにすることがある。 いや、別に一日中いっしょにいるわけではない。 昼食を食べに行くだけだ。 その際、オナカ君の車で移動することが多いのだが、移動中にいつも決まってオナカ君が聞くことがある。 それは、「何食べに行くか?」である。
ぼくは、そう聞かれると、いつも「おまえに任す」と言っている。 だが、オナカ君は「遠慮せんでいい。おまえの好きなのでいいぞ」と言う。 そこで「何にしようかのう…」と悩んでしまう。 そして、悩みに悩んだ末に出てくる答は、いつもチャンポンである。 で、ぼくの一押しの『峠ラーメン亭』に行くことが多い。
今日もオナカ君と昼間会ったのだが、例のごとくオナカ君が「何食べに行くか?」と聞いてきたので、ぼくも例のごとく「おまえに任す」と言った。 するとオナカ君は「じゃあ、チャンポン行きますか?」と言う。
「ええっ、またチャンポンか?」 「こういう場合、ラーメンかチャンポンやろ」 「たまには飯類食いたいぞ」 「じゃあ、どこにするか?」 「うーん…」 「やっぱりチャンポンやろ?」 「いや、今日は焼きめしにする」 「どこで?」 「どこでもいいぞ」 「遠慮するな」 「でも、いつも同じところじゃ悪いやないか」 「峠ラーメン亭に行きたいんやろ?」 「…ああ」 ということで、ぼくたちは『峠ラーメン』へと向かった。
さて、峠ラーメン亭に着いてからのこと。 オナカ君が「焼きめし食うんなら、半分ずつしようや」と言だした。 「半分じゃ足りんやないか」 「チャンポン食えばいいやないか」 「ここの焼きめし、貝汁がついてくるんぞ」 「あ、そうやったか。じゃあ、おれはチャンポンだけにしよう。おまえどうするんか?」 「チャンポン目の前にして、焼きめし食うのも嫌やのう。…じゃあ、おれもチャンポンにしよう」 結局、またも飯類はお預けとなったのだった。
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