【河内(八幡東区)】 何日か前に「大蔵で蛍が飛び交っている」という話を聞いた。 地元の蛍スポットとしては河内が有名だが、大蔵はそこに流れている川の下流になる。 その話を聞いて、ぼくはさっそく行ってみたいと思った。 実は、それまで何年か続けて見に行っていた蛍を、昨年は見ることが出来なかったから、「今年はぜひ」という思いがあったのだ。
ということで、今夕、大蔵に行ってきた。 ところが、大蔵どころか、その上流の河内にも蛍は出てなかった。 いや、河内にいることはいたのだが、ほんの数匹程度だった。 しばらく見ていたが、そのうち数匹も消えていった。 情報の主は、いったい何匹の蛍を見て「飛び交っている」などと言ったのだろうか。
しかし、せっかく蛍を見に来たのである。 ここはぜひとも見ておかなければ、今度はいつ来れるかわからない。 そこで、別のスポットに行くことにした。 どこに行こうかと迷ったが、手っ取り早いのは区内にある黒川である。 しかも、そこは河内のように山の中ではなく、幹線沿いの平地なので、運転も楽だ。
「黒川に行こう」と決めた時に、ちょうど出張に行っていた嫁ブーから「仕事が終わった」と連絡が入ったので、河内から駅まで迎えに行った。 結局、河内には10分程度滞在しただけだった。
【黒川(八幡西区)】 さて、嫁ブーを乗せてから、そのまま黒川に直行した。 時間はすでに午後9時を回っていた。 「もう店じまいしとるかもしれんの」 「蛍に店じまいとかあるんね?」 「だって、一晩中火を灯しとるわけじゃないやろ」 「ああ、そうか」
黒川に着いてみると、川沿いに何台かの車が停まっていた。 そして川のほうから、人の声が聞こえてくる。 「人がおる。たぶん、まだ店じまいしてないんやろの」 と、車を降りて、川べりに降りてみた。
「うわー」と、嫁ブーが思わず声を上げた。 川べりに生い茂ったけっこう広範囲の草むらで、淡い光がフワーと浮かんでは消えていくのだ。 色はというと、蛍光色とはよく言ったもので、その通りの色をしていた。 街灯や車のライトで、周りはけっこう明るいのだが、それでもしっかりと光っている。 時々こちらに近づいてくる蛍もいて、嫁ブーの肩にとまって光を放っていた。
こういう時、昔のぼくなら詩の一つでも書いていたのだろうが、今はそれが出来ないでいる。 それだけが残念である。
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