頑張る40代!plus

2006年02月22日(水) Nさんからの電話

夕方、会社にぼく宛の電話が入った。
「もしもーし、しんちゃん」
「はい」
「酔っ払いのおいちゃんでーす」
「え?」
「わかりますかー?」
「ああ、わかりますよー。寂しがり屋のおいちゃんでしょ」
「はーい、寂しがり屋でーす」

電話の主は、長崎屋時代の先輩であるNさんからだった。
彼はいつもこんな調子で電話をかけてくるのだが、今日はかなり酒が入っているようで、舌がまめっていない。

「風の噂で聞いたんやけど、今度おまえ家電を離れるそうやないか」
「よく知っとるねえ」
「おれみたいな情報音痴でも、そのくらい知っとるぞ」
「ふーん」
「で、おまえ、これからどうするんか?そこの会社、他に家電やっとるところないんやろ」
「うん、ないよ」
「会社はどうしろと言いよるんか?」
「生鮮に行ってくれ、ということみたいよ」
「生鮮?おまえ行くんか?」
「いや、生鮮なら辞めます、と言ってある」
「そうか…。おれも量販で働いていた頃、突然生鮮行きを言い渡されてのう。それでそこ辞めたんやけど、おまえも同じ道たどるんやのう…」

Nさんは長崎屋を辞めた後、いくつかの量販を転々とし、それから今の職業である損保の代理店を始めた。
会社や時間に縛られない今の仕事が性に合っていたのだろう。
その後は転職せず適当に頑張っている。
しかし、前の会社を辞めた原因が「生鮮に行け」言われたことだったとは知らなかった。

「それで、もし辞めることになったらどうするんか?」
「歌手になる」
「ぶっ、おまえ、まだそんなこと言いよるんか。いつまで経っても進歩のない奴やのう。もう若くないんぞ」
「いいやん。それしかないんやけ」
「いっそ、Hさんに弟子入りしたらどうか?」
Hさんとは、ぼくとNさんの共通の知人で、会社が潰れたあと、就職せずにそのままパチプロになった人である。
「Hさんか…」
「おう。あの人相変わらず稼ぎよるらしいぞ」
「おれにパチプロなんか出来るわけないやん。博才ないもん」
「じゃあ、Kさんに弟子入りしろ」
「トラックの運転手なんかできるわけないやん」

「まあ、それはいいにしろ、何でおまえ、そういう話になった時、おれにグチ垂れに来んかったんか?おまえの兄貴分として、おれは寂しいぞ」
「おれ、いつも前向きに考えとるけ、別にグチは垂れたりせんもん」
「前向きが歌手なんか?」
「冗談に決まっとるやろ」
「じゃあ、何をするんか?」
「いろいろ考えとることはある」
「そうか、じゃあ来週飲み会設けるけ、そのへんのところをゆっくり聞いてやろうやないか」
「27日はだめやけね」
「何でか?」
「お別れ会がある」
「そうか。じゃあ27日以外ならいいんやの」
「いちおう予定はない」
「わかった。また連絡する。じゃーねー」
ということで、来週は飲み会が二度あるのか。
また日記の更新が遅れてしまう…。

それにしても、Nさんは、何で会社に電話をかけてくるのだろう。
こういうプライベートな話をするなら、まず携帯にかけてくるべきだ。
相変わらず常識はずれの男である。


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