頑張る40代!plus

2006年02月21日(火) 今日のターゲットは…

(1)
今日は給料日後初めての休みだった。
ということで、例のごとく銀行回りをした。
いつものようにデパートに車を駐めたのだが、いつものように銀行を回ったあとに本屋に行くことをしなかった。
それには理由があって、デパート内にあるレストランに、ぼくが凝っている食べ物があるからだ。
つまり、早くそれを食べたかったということだ。
そこで、さっさと銀行を回り、さっさとデパートに戻ってきた。

その食べ物が何かというと、焼きそばである。
焼きそばなら、わざわざデパートで食べなくてもよさそうなものだが、そこの焼きそばはちょっと違う。
見た目は、普通の焼きそばと変わらないのだが、ソースを使ってないのだ。
そこでついた名前が『塩焼きそば』。
ソースを使わない分、嫌みがなく、実にあっさりしている。
それが今のぼくの舌に合うのだ。

昨年の11月に、そのメニューを知ってから、街に出るたびにいつもそれを食べている。
先月などは、銀行を回る前にまずラーメンを食べ、銀行を回り終わった後にそこで焼きそばを食べたほどだ。
おそらく来月も食べることだろう。

(2)
食後、デパート内をウロウロしていると、目の前をノソノソ歩いている女がいた。
誰あろう、タマコである。
タマコは、このデパートで働いているのだ。
「こら、何ウソウソしよるんか!」
タマコはびっくりしてこちらを向いた。
「あっ」
「『あっ』じゃない。ちゃんと自分の持ち場について仕事せんか!」
「トイレに行きよるんやもん」

と、タマコのネームプレートがぼくの目にとまった。
「おい」
「あ?」
「おまえ、名前が違うやないか」
「ああ」
「忘れたけ、他の人のネームプレートでもしとるんか?」
「違うよう。わたしねえ、結婚したんよ」
「えっ、結婚したんか?」
「うん」
「ダンナは、あの彼氏か?」
「うん」
「彼氏は早まったことしたのう」
「何で?」
「おまえが馬鹿ということ知らんやろうもん」
「わたし天才よ」
「ああ、そうやった。天才的なバカやったのう」
「バカやないしー」

「そりゃそうと、にいちゃん、転勤になるらしいけど、どこに行くと?」
「転勤せんぞ」
「えっ、でもそう聞いたよ」
「転勤はせん。仕事辞めて、歌手になるんよ」
すると、タマコは嫁ブーのほうを向き、真面目な顔をして「止めたほうがいいですよ」と言った。
それを聞いて、嫁ブーは「ホントに歌手になるんよ」と言って笑っていた。

「あっ、そうやった。にいちゃん、お祝いちょうだい」
「えっ、10円でいいか?」
「もっとちょうだい」
「おまえにやるお祝いなんかないぞ」
「何で?」
「おまえは、おれたちが結婚する時、何もしてくれんかったやないか」
「その時、わたしまだ、にいちゃんのこと知らんかったもん」
「いいか、世間は持ちつ持たれつなんぞ。さかのぼってお祝い持ってこい。そしたら、お祝いやるわい」

「ところで、まだ日記書きようと?」
「書きようよ」
「今は、誰がターゲットなん?」
「昨日はユリちゃんやったのう」
「ああ、カラオケ好きのおばちゃんやね。かわいそうに」
「かわいそうやないぞ」
「でも、無茶苦茶書くやん」
「何が無茶苦茶か。ありのままを書きよるだけやろ。カラオケ好きはカラオケ好きなりに、バカはバカなりに」
「いいや、無茶苦茶やん」
「じゃあ、今日は久しぶりにタマコのことを書こうかのう」
「もうやめてー」
「大丈夫。ありのままを書いてやるけ」


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