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2005年09月25日(日) 延命十句観音経霊験記(2)

そういう状態が2ヶ月ほど続いたある日、ようやく打開のきっかけをつかんだ。
たまたま寄った本屋で、ある新刊の本を手に取った時だった。
ふと手が滑ってしまい、その本を落としてしまった。
慌てて本を拾い上げると、あるページに折れ目が入っているのが見えた。
「まずいな」と思いながら、そのページを開いてみると、ちょうど折れた先が矢印のようになって、ある文章を指していた。
そこを見てみると、そこには“延命十句観音経”という、短いお経が書いてあった。

“延命十句観音経”、初めて聞く名前である。
どんなお経だろうかと説明を読んでみると、そこには『非常に霊験あらたかなお経で、古今この経に救われた人は数知れず』などと書いてあった。
うさんくさい宗教書にありがちな表現である。
ところが、よくよくそれを読んでみると、その経を広めたのは、臨済宗中興の祖と言われる、あの白隠禅師というのだ。
「嘘だろう」と思い、その本を一端書棚に戻し、宗教書のコーナーに行ってみると、そこに『延命十句観音経霊験記』なる本が置かれていた。
作者の欄を見てみると、確かに『白隠禅師』と書かれている。
疑い深いぼくは、その経について語っている本を探しだして読んでみると、やはり白隠禅師が広めたと書いてあった。

「白隠が『霊験あり』と言うのなら、嘘じゃないだろう」と思ったぼくは、先ほど落とした本と、『延命十句観音経霊験記』と、それを解説している本と、計3冊の本を買って帰った。

観世音 南無仏 与仏有因 与仏有縁 仏法僧縁 常楽我浄 朝念観世音 暮念観世音 念念従心起 念念不離心
延命十句観音経というのは、たったこれだけの短いお経である。
短いといえば般若心経も短いが、このお経はさらに短い。
解説書には、この短いお経の中に仏教の真理があるのだと書いてあった。
しかし、その時のぼくに、真理を追究する余裕などない。
ということで、解説書は飛ばして、『延命十句観音経霊験記』のほうを読むことにした。


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