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2005年09月13日(火) パソコンの怪(前)

1ヶ月ほど前から、パソコンの様子がおかしかった。
パソコンを起動させてから10分間ほど、人の声のような音が聞こえるのだ。
どんな声かというと、「ウェッ、ウェッ」という声で、おっさんが首を絞められて喘いでいるように聞こえる。
最初にその声を聞いたのが夜中だったため気味が悪く、霊がパソコンに進入してきたのではないかと思ったほどで、最初の一週間は機械のことよりも、そちらのほうを心配していた。

とはいえ、心配ばかりしていたわけではない。
あることに期待もしていたのだ。
それは、ポルターガイスト現象である。
ぼくは金縛りにあったり、幽霊を見たりしたことはあるのだが、残念ながらポルターガイストだけは見たことがない。
確かにそういう現象が起こるのは怖いことではある。
が、怖いものは見てみたい。
ということで、ぼくは内心何か起きてくれないかと期待していた。
だが、そういったことは何も起こらなかった。

さて、1週間ほど経って、ようやく霊の疑いが晴れた。
霊なら、昼間には出てこないはずだからと、休みの日の昼間、安心してパソコンを使っていると、かすかに先のうめき声が聞こえた。
「えっ!?」と思って、耳を澄まして聞いていると、だんだんその音は大きくなっていった。
それだけではない。
今度は、その音に混じって「ガーーー」という機械音までし始めたのだ。
ここでようやく、ぼくは「これは霊のせいではない」と思うに至ったのだった。

では、霊でないとすれば、あの音はいったい何なのだろう。
ハードディスクの音でもないし、モデムの音でもない。
ということは、機械自体に異常が出ているのではないか。
しかし、異常な音がする以外は、パソコンは正常に作動している。
ということで、そのまま気にせずに使っていたら、異常な音はいつの間にか消えていた。

おっさんの声が初めて聞こえてから2週間目のことだった。
起動した時に見慣れない画面が出るようになった。
英語で書いているので、読む気もせず、そのまま飛ばして起動させた。
相変わらずパソコンは正常に動いている。
「やっぱり問題なかった」と思って、メールソフトを起ち上げた瞬間、電源が切れてしまった。
すぐさま電源を入れ直してみた。
ところが、パソコンはウンもスンも言わない。
調べてみると、電源部が異常に熱くなっている。
「もしかしたら、埃が貯まってるせいかもしれない」と思い、コンセントを抜き、パソコンをばらして、中をクリーナーで掃除してみた。
そして、しばらく時間を置いてから電源を入れてみた。
今度はうまくいった。


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