それからしばらくはよかったのだが、起動時にまたあの見慣れない画面が出るようになった。 そこで、そこに書いている英語を読んでみることにした。 『困った!CPUのファンが止まった』と書いてある。 こういう場合、素人のぼくはどう対処していいのかわからない。
メーカーに修理を頼もうかとも思った。 だが、そうすると、その間の日記は携帯で書かなければならなくなる。 前に携帯で日記の全文を書いたことがあるのだが、これが大変な作業だった。 目はしばしばするし、指の付け根は痛くなるし、こんな目に遭うくらいなら、日記なんか書かない方がましだと思ったものである。
修理がだめなら、新しいパソコンを買うしかない。 このパソコンも古くなってきているので、いい潮時だ。 しかし、この間ギターを買い、車検代を払ったばかりである。 いまパソコンを買う余裕は、どこにもない。 「しかたない、とりあえずパソコンは動くのだから、そのまま我慢して使うか」ということになった。
それから騙し騙し使っていたのだが、昨日、とうとうだめになってしまった。 ゲームをやっている途中に、まったく動かなくなってしまったのだ。 しかたなく強制終了させて、再起動してみた。 ところがである。 途中まではうまくいくのだが、パソコンが起ち上がる前に切れてしまうのだ。 コンセントを抜き、しばらく時間を置いて電源を入れてみてもだめ。 1時間経ってやってみたが、だめ。
どうしようかと思った時だった。 ふと『困った!CPUのファンが止まった』という、あの起動の際の画面の言葉を思い出したのだ。 「あ、そうか。CPUファンなるものを替えてみたら、何とかなるかもしれない」 そう思ったぼくは、再びパソコンをばらし、その『CPUファン』なるものを探してみた。 ファンは3つばかりある。 きっとその中のどれかだろうと思い、電源を入れてみると、一つのファンが、苦しそうに回っているのがわかった。 いったんは根性を見せて回るのだが、すぐに止まってしまう。 しかし、根性者のファンは、再び回ろうとする姿勢を見せる。 その結果、ちょっと回る。 また止まる。 またちょっと回る。 止まる。 この繰り返しをずっとやっている。
ここでようやくぼくは、最初のおっさんの声の主がわかった。 そう、この根性者のファンだったのだ。 ちょっと回る時に、つい漏らした声だったのだ。 いま音がしないのは、おそらく前にクリーナーで掃除した時に、そこにこびりついていた埃が取り除かれたからなのだろう。
声の主と、起動の時の見慣れない画面の原因がわかったぼくは、ファンを取り外し、近くのY電機に走った。 ファンはすぐにわかった。 価格も1200円程度で、そう高くはない。 さっそくそれを買って、すぐに家に帰った。 そしてそれを取り付け、電源を入れてみると、見事にパソコンは蘇った。 これで、夜な夜な聞こえるおっさんの声に悩まされることも、突然切れる電源の恐怖に脅かされることもなくなったわけだ。
ゲゲゲゲゲゲ…♪
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