昨日は講習に行けず、結局家で過ごすことになった。 元々博多に行くつもりにしていたので、他に何の予定も立てていなかった。 しかし暇である。 たとえ予定を立てていなくても、晴れていたら、買い物に行ったりプチドライブに行ったりで、さほど退屈さも感じなかったのだろう。 だが、外は「大雨、洪水、暴風、波浪、高潮」警報の真っ最中で、とても出られる状態ではない。 しかたなく、ネットを見たり、ギターを弾いたり、それも飽きると本を読んだり、とダラダラ時間をつぶしていた。
嫁ブーはというと、することがないせいか、ずっと寝ている。 昼になったので、昼食の用意をしてもらおうと起こしたが、またすぐに目を閉じてしまう。 耳のそばで「腹減ったー」と叫んでみたが、やはり起きない。 そこで、ぼくは奥の手を使うことにした。 携帯電話を持ってきて、カメラを構え、「おい、写真撮るぞ」と言った。 こうやると、嫁ブーは反射的に起きるのだ。 実は、これまで散々嫁ブーの寝相を撮っている。 撮った写真はどうするのかというと、いつもヒロミに送っている。 ヒロミは嫁ブーの寝相が好きなのだ。 前に嫁ブーがヒロミに電話した時、ヒロミから「ボリ(嫁ブーのニックネーム)、すごい寝相やね」と言ってからかわれた。 「えーっ、何でわたしの寝相のこと知っとると?」 「だって、しんたさんがいつも写真送ってくれるもん」 「あのじじい、油断も隙もないんやけ」 それ以来嫁ブーは、カメラに神経質になっている。
しかし、昨日はちょっと勝手が違った。 「撮るぞ」と言っても起きなかったのだ。 ちょっと間をおいて、もう一度「撮るぞ」と言ってみた。 しかし、それでも反応がない。 そこで、携帯を嫁ブーの耳のそばに持っていき、「カシャッ!」というシャッター音を聞かせた。 「えっ!?」と言って嫁ブーは飛び起きた。 「いま撮ったやろ?」 「何のことか?」 「いま、シャッターの音がしたんやけど」 「知らんぞ」 「うそ、撮ったやろ」 「撮ってない」 「また、ヒロミちゃんにその写真送るつもりやろう」 「何も撮ってないっちゃ」 「もう…」 「それよりも腹減ったけ、何か作れ」 「あっ、もうお昼やん」
それから嫁ブーは昼食の用意をした。 そして、腹が減ってから1時間後、カメラを向けてから30分後に、ようやくぼくは昼食にありつけたのだった。
食事中も嫁ブーは居眠りをしていた。 ぼくが話しかけても上の空である。 しかし、食事が終わってからは目が覚めたのか、テレビを見だした。 また韓流である。 面白くないので、ぼくはまたネット、ギター、本に戻った。 外は相変わらず、「大雨、洪水、暴風、波浪、高潮」である。 暇な一日だった。
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