昨夜は朝5時に起きようと意気込んで寝たのだが、起きてみると、もう6時半を過ぎていた。 こりゃいかんと慌てて出かける準備をした。 その準備の合間に、テレビで台風情報を確認したのだが、どうも福岡と北九州以外のJR線は運転を見合せたようだ。 ということは、いずれこちらも運休になるだろう。 だが、まだわからない。 せっかく早起きしたのだから、とにかく駅まで行ってみようと思い、家を出ることにした。
時間は、予定通り7時過ぎだった。 バスは遅れもせずにやってきた。 普段なら通勤客で多い時間帯である。 にもかかわらず、バスには、ぼくを除いては2人しか乗ってなかった。 また、途中から乗ってくる人もいなかった。
渋滞しているはずの道路も、ガラガラ状態である。 日曜でもないのに、この道路の状態は異常、いや異様である。 雨風はまだそこまで強くなかったが、アスファルト色の不気味な空が垂れ下がっている。 その空と道路の色が相まって、異様な雰囲気を醸し出していたのだ。 しかし、バスはそういうことに頓着せず、時間調整する余裕まで見せながら、順調に駅に向かったのだった。
当然時間通りにバスは駅前に着いた。 ぼくが乗ろうとしている特急の時間に、充分間に合う時間である。 バスを降りたぼくは、駅の方にゆっくりと歩いていった。 しかし、普段は学生でごった返している時間帯なのに、昨日の時点で休校と決まっていたせいか、一つの制服も見あたらない。 また、駅に向かっている人もあまりいない。 まるで日曜日の朝の風景である。
さて、駅に入ったぼくは、真っ先に発車時刻の案内板を見た。 そこには当然特急の時刻が出ているはずだからだ。 ところが、そこにあるのは上り電車の案内ばかりで、下りは全く載ってないのだ。 そこで、切符を買うことをやめて、しばらく待っていた。 すると、駅員がメガホンを持って出てきた。 そして、おもむろに「台風14号の影響で、ただいまのところ、博多まで運行しておりません」と言った。 列車の事故で運転を見合わせる場合は、その後に「他の交通機関をご利用下さい」と付け加えるが、今日はそれを言わなかった。 ということは、その時点で高速バスも運転見合せになっていたのだろう。
ここでようやく、ぼくにも判断が出来た。 「今日は行くのをやめて、他の日に変更してもらおう」 そう思ったぼくは、駅横にあるコンビニで朝食や週刊誌を買って、帰りのバスに乗り込んだ。 バスの乗客は、ぼくを除いては1人しか乗っていなかった。 奇しくもその人は、行きもいっしょだった人だ。 ということは、その人もぼくと同じくJRにふられた口だろう。
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