【1】 今日から売出しが始まった。 ゴールデンウィークということで、チラシの大きさは普段の倍ある。 そこに載っている商品も、普段よりいくらか安い価格になっている。 そして、そういうチラシにつられて、普段より多くのお客さんが集まってくる。
お客さんは、大きく分けると2種類のパターンがある。 日課としてやって来るお客さんと、チラシ商品目当てのお客さんだ。 日課としてやってくるお客さんというのは、コンビニ的にうちの店を利用しているお客さんで、石鹸やシャンプーといった生活用品やペットの餌を買い求める人が多い。 そういう人の中には、毎日来ているせいかどうかは知らないが、チラシには無頓着な人もいる。 そういう人は決まって「今日はえらく人が多いね」などと言う。 こちらが「今日はチラシが入ってますからね」と言うと、「ああ、どうりで。で、何が安いんね?」と聞いてくる。 いちおうこれとこれが安いと説明するのだが、そういう人は買う物はいつも同じだから、それらの商品を買うようなことはしない。
さて、もう一方のチラシ商品目当てのお客さんだが、このお客さんの中にも2種類のパターンがある。 朝早く来るお客さんと、それより少し遅れて昼頃やって来るお客さんである。 朝早くから来ているお客さんというのは、だいたい日替り商品が目的となっている。 つまり、『ティッシュペーパー5箱組198円(税込)』なんかを狙ってやって来るのだ。 そのため、目玉商品があった時には、かなりの行列が出来る。 客層はというと、圧倒的にお年寄りが多い。 まあ、手に持って帰ることが出来る商品を、日替りにしているからだろうが、それにしても多い。 しかし、それでいい面もあるのだ。 それは、お年寄りだから、開店時に走って店内になだれ込むということがないことだ。 なだれ込むことがないということは、転倒事故などが起きないということである。
昼頃やって来るお客さんというのは、そういう日替り商品が目的ではなく、それ以外のチラシ掲載商品が目的になっている。 なぜ昼頃来るのかといえば、日替りの喧噪を避けているからだ。 日替りでないゆえに、台数が限定になることはあまりない。 そのため、日替り目当てのお客さんのように焦って来なくても間に合うのだ。 この手のお客さんの特徴は、家族連れで来る人が多いということだ。 こういうお客さんは、日替りのお客さんと比べると、比較的単価の高い商品を買う人たちである。 きっとお客さんの中で、「高い物を買う」という意識が働いているのだろう。
ということで、お客さんもいろいろである。 日替り目的で朝早くやってくる来るお客さんもいれば、閉店間際にやって来ていつまでも店内を見て回っているお客さんもいる。 感じのいいお客さんもいれば、悪いお客さんもいる。 何かひとこと文句を言わないと気がすまないお客さんもいる。 車を駐めるために利用しているお客さんもいる。 中には、おならだけして帰るお客さんもいる。 こういう人たちのおかげで、ぼくたちの生活は成り立っているわけだ。
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