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2005年04月12日(火) ぼくは生きた治療史

前回から、歯の治療は右下の奥歯に移っている。
以前治療した歯の銀冠が浮き、そこを虫が食っているのだという。
そこで、かぶせている銀を外しての治療となった。
銀を外した時に、先生は言った。
「この歯は、えらく昔に治療してますねえ」
「えっ、そうですか?」
「ええ、この治療法は古いやりかたですよ」
「へえ」
そこで治療中に、いつ治療したものだったかを考えていた。
治療が終わる頃になって、ようやく思い出すことが出来た。
「えらく昔」と言われるはずだ。
もう30年も前の治療なのだから。

あれは高校3年のことだった。
右下の犬歯の横の歯に穴が開き、その奥の歯もそれに併せるかのように黒くなっていた。
しかし、別に痛くもなかったので放っておいた。
2学期末のある日、授業中に突然喉が痛くなったことがある。
そこで、授業が終わったあと、保健室にトローチをもらいに行った。
「先生、トローチ下さい」
「トローチ?どうしたんね」
「喉が痛いんです」
「喉が痛い?風邪かねえ。ちょっと口開けてみて」
ぼくは口を開けた。
その時だった。
先生は急に大声を張り上げた。
「何ね、あんたの歯は!」
「えっ?」
「えっじゃないよ。汚いねえあんたの歯は。すぐに治療に行ってきなさい」
「歯の治療?」
「そう、歯の治療。歯が酷いことになっとるよ」
「ああ、歯でしょ。それはわかってます」
「わかってるなら、何ですぐに治療に行かんとね?」
「治療と言ったって、別に痛いわけでもないし。歯医者はいつか行きますから、トローチ下さい」
「だめ。あげません」
「何でですか?」
「喉が痛いのは歯から来とるんよ。すぐに治療しないと大変なことになるよ」
ということで、先生におすすめの歯医者を聞き、その日の帰りに行くことにしたのだった。

さて、今日はその歯の奥の治療をした。
「今日はこの歯の治療をします」
と言って、先生はかぶせていた奥歯の冠を外した。
「えっ…」
先生は一瞬沈黙した。
「これはすごい。この間より古い治療ですねえ。もう土台がボロボロになっていますよ。根っこから治療をやり直さないと…」
ということで、今日も治療中に、いつ治療した歯なのかを考えていた。
この間より古いとなると、高校2年の時に

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