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2005年04月11日(月) 得体の知れない何か

最近また変な現象に悩んでいる。
寝ている時に体が浮く現象は、前にも書いたことがあるが、最近その現象が、さらにパワーアップしているのだ。

前回、その現象に悩まされた時は、ぼくもいろいろと対策を立てた。
例えば、枕元に般若心経の経本を置いて寝るとか、疲れがたまらないように、なるべく早く寝るとかである。
さらに、その現象を引き起こすであろう『得体の知れない何か』が登場する時には、決まって「バシッ」というラップ音が聞こえる。
そこで、それをふまえて、その音が聞こえるとすぐにぼくはある呪文を唱えて、体が浮くのを拒むことにした。
その呪文とは他でもない、般若心経の「ぎゃーてい、ぎゃーてい、はーらーぎゃーてい」である。
時に「ひーふーみーよーいーむーなーやーこーとー」や「とーかみえみため」といった、言霊を唱えることもある。
それら呪文の効果は抜群で、それを唱えている間は、変な現象を起こさせる『得体の知れない何か』がぼくに寄りつくことはない。
と、しばらくの間、それでよかった。

ところが、その『得体の知れない何か』も対策を練ったようで、ぼくがその呪文を唱えなくなった時、そう寝入りばなにやってくるようになったのだ。
こちらが無防備な分、その威力にはすごいものがある。
体が浮くと同時に、ぼくの呼吸を止めてしまうようになったのだ。
ぼくは最初、このことに気がつかなかった。
体が浮くのは慣れているので、時間がくれば収まるだろうと思っていた。

しかし、今回はどうも様子が違うのだ。
「何か忘れているような…。あっ、苦しい…、息をしてないやないか!」
そのことにようやく気がついて、すぐに呼吸をしようとするのだが、自分の意思で呼吸を止めたわけではないので、呼吸が回復するまでに時間がかかってしまう。
つまり、息を止めている時というのは、その1秒1秒が長く感じる、ということである。
悠長に苦しい思いにつき合っておれない、ということで、必死にもがくことになる。
ようやく呼吸が出来るようになる頃には、かなり体力を消耗してしまっている。
その頃、奴はすでにどこかに行ってしまっている。
しかし、油断してはならない。
いつまたあいつが現れるかもしれない。
と、再びぼくは呪文を唱え始めるのだ。
翌朝はもちろん、寝不足である。

ところで、この現象はいったい何なのだろうか?
呼吸をしないのだから、無呼吸症候群というやつに当てはまるのだろうか?
だが、無呼吸症候群は、息をしていないという自覚がないと聞く。
ということは、無呼吸を自覚しているぼくは、無呼吸症候群ではないということになる。
もしかしたら、例の『得体の知れない何か』というのは、実は死神で、ぼくのもとにやってきて、魂を抜き取ろうとしているのかもしれない。
今はまだ、体力があるからいいようなものの、病気をしたり年を取ったりして体力がなくなった時は危ない。
あんがい過労死をした人というのは、この死神との闘いに敗れた人たちなのかもしれない。
気をつけなければならない。


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