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2005年04月03日(日) 歯医者と整体院(後)

それから先生は「じゃあ、今度は仰向けになりましょうか」と言った。
嫁ブーが仰向けになると、先生は嫁ブーの胃のところを触りだした。
「ああ、やっぱりね」とまたしても一人言を言い出した。
しばらく腹をまさぐった後で、先生は「もう一度うつぶせになって下さい」と言った。
そして、「今回のギックリ腰は、内臓の疲れが元々悪かった腰に伝わり、周辺の神経を圧迫したようです。これを完治させるなら、かなり時間がかかるので、今日は痛みを緩和するだけにしておきます」と言い、電気治療を始めることになった。
先生はカーテンでその場を仕切った。

嫁ブーの治療が始まってから、ずっとぼくはいつ写真を撮ってやろうかと構えていた。
しかし、仕切られてしまっては、もうどうすることも出来ない。
仕方がないので、終わるまで、書棚に並んだコミックを読むことにした。
何を読もうかとコミックの背表紙を見ていたのだが、そこに一つだけ目に付いたタイトルがあった。
井上雄彦の『バガボンド』である。
以前から書店に行くたびに目にしていて、気にはなっていたのだが、読んだことはなかった。
まあ、吉川英治の『宮本武蔵』が基になっているのは知っていたから、読むほどのないと思っていたわけである。
しかし、読んでみると、これが面白い。
画があるせいかどうかは知らないが、原作よりかなり迫力があるのだ。
読んでいくうちにそこに引き込まれていく自分に気づいた。

1巻目を読み終わり、2巻3巻と読み進み、4巻目に移ろうとしたとき、嫁ブーの治療が終わった。
「せっかく、これから面白くなっていくのに…。もう少し、治療をしてくれ」とぼくは思っていた。
しかし、時計を見ると、もう1時間半が経過していた。
つまり、タイムリミットだったのだ。

何とか嫁ブーは歩けるようになったようだ。
整体院に着き、車を降りた時は、前屈みになって恐る恐る歩いていたのだが、治療後は腰をまっすぐに伸ばし、ぼくが手を貸さなくても一人で歩ける状態になっていた。
治療費は、初診ということで5千円かかった。
保険が効かない分、やはり高い。
しかし、ここまで回復しているのを見ると、この価格は安いのかもしれない。

院内に入った時は気がつかなかったが、出る時に入り口の壁を見てみると、各高校中学運動部の札が下がっていた。
きっとそういったところのお抱えトレーナーなのだろう。
あとで人に聞いたのだが、その整体院はスポーツ関係では、かなり有名なところらしい。
スポーツで痛めた体を、ここでケアしているのだという。
ということは、ぼくの五十肩も、ここにくればすぐに治るかもしれない。
以前日記に、歯医者が終わったら次は肩の治療だと書いた。
当初は、保険の効く整骨院に行って様子を見ようと思っていたのだが、これほど即効性があるのなら、まずこの整体院で痛みを取り除いてもらい、その後整骨院で完治させる手もある。
よし、歯医者の次はこの整体院だ。
『バガボンド』の4巻以降は、その時までお預けである。
しかし、歯医者はいつになったら終わるのだろう。
確か「次の回で上の歯が終わりです」と言っていたが、ということはその後は下の歯の治療か。
治療終了は、確実に夏になると思われる。


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