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2004年09月18日(土) ヒロミちゃん4

さて、ヒロミが辞めてからこちら、会ったのは1,2度しかない。
一度目はヒロミが子供を産んでからすぐの頃だった。
子供を見せに会社にやってきたのだ。
どうも自分の子が気に入らないらしく、「かわいくない、かわいくない」を連発していた。
「ね、しんたさん。私に似てないやろ?」
「そうかのう。目元は似とるんやないんか」
「そんなことないっちゃ。この子旦那似なんよ。全然かわいくないっちゃね」
「まあ、そのうち似てくるやろ」
「似てくるわけないやん。じゃあ、帰るけ」
そう言ってさっさと帰って行った。
滞在時間は3分ほどだった。

もう一度は、今から10年ほど前、今の会社に移ってからのことだった。
ある日のこと、前の会社の後輩がやってきた。
何でも今度結婚するらしく、ぼくに「披露宴に出席してくれ」と頼みにきたのだ。
そこで、「おまえ、前はヒロミと同じ売場やったろ。ヒロミは呼んだんか?」と尋ねてみた。
後輩は「もちろんです。ちゃんと呼んでます」と言った。
そして当日、ぼくたち夫婦と久々の対面となったわけだ。
もちろん同じテーブルだったので、いろいろな思い出話に花が咲いた。
その中で、一番多く名前が出たのが、オータグロだった。

その後、ヒロミとは音信不通になってしまった。
最初はぼくたち夫婦間でも、ヒロミのことが話題になっていたが、それもそのうちなくなってしまった。

先月のこと、嫁さんの携帯にショートメールが入った。
文面には『お元気ですか(絵文字)』と書いてあった。
嫁さんは「誰やろうか。この電話番号に心当たりがない」と言う。
ぼくが「電話してみたら」と言うと、「いやよ。知らん人やったら困るやん」と言う。
そこでこちらから、『誰ですか?』と書いたショートメールを送ることにした。
それからしばらくして、嫁さんの携帯が鳴った。
嫁さんが、着信番号を見てみると、先ほどのショートメールと同じ番号だった。
嫁さんは「気味が悪い」と言って出ようとしない。
「出れ。変なやつやったら代わってやるけ」
ぼくがそう言うと、嫁さんは恐る恐る電話に出た。
「もしもし」
「・・・」
「はい、そうですけど…」
「・・・」
「いえ、違います」
「・・・」
「えっ、ヒロミ!?」


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