| 2004年04月05日(月) |
昨日までの生きざま(上) |
『昨日までの生きざま』
夜は明けて、日は昇り、雲は隠す 鳥は鳴き、風は吹き、今日でお別れ また街は揺れる、いつものように
人は声もかけず、忘れたふり 空は泣き、ぼくは泣き、涙は尽き くたびれた靴が、この街の想い出
この道は、いつもの道、歩き慣れた 傘もなく、びしょぬれの荷は重く 水たまりを濁す、別れの足跡
夢は消え、バスは来て、足は重く ぼくはただ、窓にもたれ、ため息つく 昨日までの甘い、生きざまは終わる
エッセイ『長い浪人時代(孤独と焦燥編)』のテーマソングと言ってもいい歌だ。 これを作ったのは、1977年4月だった。 その頃のことは、エッセイのほうに詳しく書いてあるので、ここには書かないが、その孤独と焦燥が始まった頃と、この『昨日までの生きざま』を作った時期がちょうど重なっているのだ。 そこからぼくは、地獄へ落ちてしまう。
高校1年の時、ぼくに大変よくしてくれた先輩が、自殺するという事件があった。 その事件は新聞でも結構大きく取り上げられた。 見出しには「文学青年自殺」と書いてあり、記事には「出来ることなら、あの人たちの中に飛び込みたい」というような詩篇が紹介してあった。
1977年のぼくは、まさにそういう心境だった。 あの中に飛び込みたいのだが、容易に飛び込むことが出来ない。 その壁になっていたもの、それは社会に対する恐れであった。 その原因となったのは、社会に対する甘えにあった。 それまでが順調すぎたのだ。 それゆえに、つまずいた時のショックは大きかった。 「こんなはずはない」 この言葉を何度吐いただろうか。 もがけばもがくほど、深みにはまってしまう。
その結果、ぼくは外に出るのが怖くなり、2ヶ月間の引きこもり生活に陥ってしまう。 しかし、家にいても何ら克服の糸口が見つからなかった。 克服するために、何が必要だということがわからなかったのだ。 いや、そういうことを考える余裕がないほど、大きなダメージを受けていたのだ。
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