さて、そういう懐かしいアーティストの数ある曲の中で、ぼくが注目している一つの曲がある。 それが上に書いたボブ・ディランの『北国の少女』である。 一般にあまり知られてない曲なのだが、この曲の歌詞の一部がある有名なアーティストの、有名な曲に使われている。 「She once was a true love of mine」 これを書いてピンとくる方は、かなりのS&G通だろう。 そう、この歌詞はS&Gのあの『スカボロ・フェアー』で使われているのだ。 後にディランが、S&Gの『ボクサー』を歌っているくらいだから、何らかの接点があるのだと思う。
ところで、上の『北国の少女』は、ぼくが学生時代に訳したものである。 当時は詩の勉強の意味で、よくビートルズやディランの訳詞をやっていたものだ。 まあ、ビートルズのほうは訳詩集なんかが出ていたせいで、訳の参考にすることができた。 ところが、ディランのほうは訳詩集もなく、頼りになるのがレコードの歌詞集だけだった。 しかし、この歌詞集の訳だと、あまりに言葉が飛びすぎて大変わかりづらい。 英語圏に住む人しか理解出来ないことを、むりやり日本語に訳しているのだから、とうてい理解出来ない。 結局、その訳詞を見た時点で、突飛な歌詞の訳は避けることにした。 まあ、そういった詩は、ディランがレコーディングに間に合わすためにタクシーの中で走り書きしたものが多いらしいから、別に訳しても何の意味もなかったと言える。 やはり、ディランの詩は初期のフォーク時代のほうが、意味も通じるし、日本語の詩として体裁が整えやすかったので、その時期のものが中心になった。
そういった訳詞は、ほとんどが消失している。 上の『北国の少女』も、探しまくってやっとノートの端っこに書いてあったものを見つけたしだいである。。 あと残っているものといえば、ディランものでは『くよくよするなよ』や『いつもの朝に』他数編だけだ。 このへんも機会があったら、ここに書いてみたいと思っている。
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