午前中、会社でトイレをしていると、突然ドアが開いた。 掃除のおばさんが入ってきたのだ。 ぼくがまだ用を足しているところなのに、おかまいなしである。 堂々と入ってきて、さも当然のように、ぼくの便器の隣の便器を掃除し始めた。 ぼくは「このおばさん、女を捨てとるわい」と思いながら、ぼくはチャックを閉めた。
とはいえ、いちおう女性である。 ちゃんと手を洗って出ないと、変な人扱いをされる。 ということで、ぼくは手を洗って出た。
トイレの後に手を洗う。 ぼくはこのことに疑問を抱いている。 何年か前、親しい人たちとドライブに行った時、トイレの後に手を洗うかどうかで、討論したことがある。 「ええっ? しんちゃん、トイレの後に手を洗わんとぉ? 汚ーい」 「何が汚いか。ちゃんと毎日手入れしよるわい。いつつまんでもいいようにの!」 「でも、ちゃんと洗わんと手にばい菌が付くやん」 「だから、おれのあそこにはばい菌なんかおらんっちゃ。それを言うなら、ばい菌のおる奴に言え!」 おしっこが手に付いたのならともかく、いつも清潔にしているものをつまむだけなのに、どうして事後に手を洗う必要があるのだろうか。
ぼくはトイレの後に手を洗うより、トイレをする前に洗うほうが大切だと思っている。 毎日清潔にしている部分、それも清潔な下着に覆われているのである。 そういうものが汚いとは、到底思えない。 それよりも、いろいろなところを触る手のほうが充分に汚い。 汚い手で触るからこそ、ばい菌が発生するのである。
それとは関係ないことなのだが、ぼくはハンカチを携帯してない。 小学生の頃は毎日先生がチェックをしていたために携帯せざるをえなかったのだが、そういうチェックが行われなくなった中学以降はハンカチを携帯しなくなった。 その理由は、不衛生であるからである。 手を洗いハンカチで拭くという行為は、もちろん清潔な行為である。 しかし、その後、その濡れたハンカチをどうするのだろうか? 普通は、そのまま元あった場所、つまり男性の場合はポケットに入れるだろう。 そうすると、ポケットの中も濡れる。 上着のポケットならともかくも、ズボンのポケットなら水気がそのまま肌に直行する。 それも日に1,2度ならいいが、食事前、トイレに行った時、作業の後、と乾く間もなく使用するのである。 そのため、ポケットに触れている部分の肌は、いつも湿気ている。 常時湿気たままの肌が、健康であるはずがない。
そういった理由から、ぼくはハンカチを持たない。 では、洗った手をどう処理しているのかというと、タオルが常設している場合はそれを使う。 それがない場合は、服で拭いている。 その時充分水気の取れなかったら、手に付いた水を人に引っかけている。 このへんは、小学生のままである。 汚いのう。
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