これも5月病というのだろうか? どうもこのところ、情緒が不安定である。 風邪がようやく治ったと思ったら、ありもしない愛人騒ぎである。 ぼく一人面白がっていたが、よくよく考えてみると、名前を挙げられた人たちにとっては、実に迷惑な話である。 みな家庭があるのだし、もしそういうことがご主人の耳にでも入ったら、大変なことになる。 そういう噂を面白がって流す人というのは、一種の愉快犯である。 軽い気持ちで、犯罪を犯しているのだ。
一番たちの悪いのが、「私、こういうことを聞いたんだけど…」とか「こういうことが噂になってるよ」などと根も葉もない話題を提供し、他の人から情報を聞き出そうとする輩である。 自分では気づいてないと思うが、えてしてそういう人は、他人からそういう人だと見られているものである。 それゆえ、みな警戒して、本当のことを教えない。
さて、話を最初の5月病に戻すが、そういういろいろなことが重なって、今心身共に疲れている。 これは5月が、春から初夏、初夏から梅雨と、二度も季節を変える月であることと無関係ではないだろう。
東京に出た年に、ぼくは5月病にかかったことがある。 別にホームシックにかかったわけではない。 体調を崩したのだ。 何となく体がだるくなり、次第に熱っぽくなってきた。 その熱っぽさの根元は、何とお尻だった。 肛門付近が、なぜかむず痒くなった。 その時はあまり気にならなかったのだが、そのむず痒さは、徐々に痛がゆくなり、最後にはヒリヒリした痛みに変わった。 「まさか…、ぢ?」 肛門周辺の痛みは、その後1週間ばかり続いた。 その間、微熱が続いた。 情緒が不安定になり、突然大声を出したり、癇に障るようなことを言ったりと、周りの人にいろいろ迷惑をかけたものだ。 そのせいで、東京でも変わり者で通ってしまった。
なぜ、こういうことになったのか。 だいたい季節の変わり目というのは体調を崩しやすいものであるが、それが5月には二度もやってくる。 しかも、東京という慣れない土地である。 水も変われば、食べ物も変わる。 緊張度も違ってくる。 そういった様々の要素が、体調に影響したとしか思えない。
しかし、なぜそれがお尻に来たのだろうか? それはいまだもってわからない。 不潔にしていたせいで、そうなったのか。 ぼくのウィークポイントが、元々お尻にあったので、そうなったのか。 ただ、言えるのは、その時の5月病が、その後のしろげしんたの人生、その場面場面で微妙な影響を及ぼしたのは確かだ、ということである。
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