ぼくのカラオケの定番を紹介します。
『時の過ぎゆくままに』(沢田研二) 高校の頃に流行ったジュリーの名曲である。 最近よく思うのだが、学生時代は、どうしてあんなに簡単に歌が覚えられたのだろう。 今の歌などは、覚えるのに一苦労する。 歌のスタイルが変わったせいもあるのだろうが、一番大きな原因は、ぼくの記憶力が低下していることにあるのだろう。 この歌は、ぼくの記憶力がまだ良かった頃に流行ったものだ。 聞き覚えというのだろうか、何かのドラマでかかっていたこの歌が自然と耳に入り、記憶に残ったのだ。 ぼくが初めてこの歌を歌ったのは、それから何年か後のことである。 音をはずさずに歌えたのは、やはり若い頃の記憶力のせいだろう。
『夕焼けの歌』(近藤真彦) マッチはこの曲の前に、『あぁ、グッと』という拓郎の歌を歌っていた。 この『夕焼けの歌』も、その曲調からして拓郎のものと思っていたが、それは違っていた。 しかし、この歌は拓郎ファンのぼくとしては歌いやすいものである。 特にサビの絶叫部分は、嬉しい。 ぼくのカラオケレパートリーで、歌詞を見ないで歌えるのはこの歌くらいだ。 他の歌はうろ覚えでしかない。 普段ぼくはカッコつけて目をつぶって歌っているが、実は片目を開けて歌詞を見ているのだ。
『時代おくれ』(河島英五) 最近はあまり歌わなくなったが、30代の頃によく歌っていた歌である。 小倉のスナックでこの歌を歌った時、誰かがぼくに「あんたの歌やのう」と言った。 あの時代、きっとぼくは、この歌の内容ほど老け込んでいたのだろう。 ということは、最近歌わなくなったのは若返った証拠だということか。
『恋』(松山千春) カラオケがブームになった頃から、歌っていた歌である。 これも若い頃だったので、それほど努力をしないで覚えた歌の一つだ。 言葉の力は偉大だ、と思い知らされた歌である。 それまでのぼくは、あまり詩の意味を考えずに歌っていた。 ところが、あるスナックで、ぼくがこの歌を歌っている時に、ある女の子が泣き出したのだ。 どうしたんだろうと聞いてみると、詩に感動したと言う。 その時ぼくは、「ああ、言葉にはこういう力があるんだ」と思ったものだ。 彼女が感動したのは、“男はいつも待たせるだけで、女はいつも待ちくたびれて〜♪”の部分である。 確かにそのとおりなのだが、きっと彼女はそれに似た経験をしてきたのだろう。 このことがあって、ぼくは詩の意味をかみしめて歌うことを心がけるようになった。
『津軽平野』(千昌夫) 小倉に一風変わったスナックがあった。 そこのマスターがこの歌が好きでよく歌っていた。 ぼくはこの歌を、そのマスターの歌で好きになった。 その後、作曲者である吉幾三のCDを買って、この歌を覚えた。 しかし、彼のヒット曲『雪国』は、このCDを買った後に流行ったため、当然このCDには入ってない。 ということで、『雪国』今でもは歌えない。 『津軽平野』に関して言えば、この歌は民謡の要素が多分に含まれている。 千昌夫よりも、三橋美智也とか細川たかしが歌ったら、もっと生える歌なのかもしれない。 ぼくは冬になると、よくこの歌を歌っている。 東北が舞台になっている歌は好きだけど、ぼくはこの歌以外は歌えない。 前々から、新沼謙二の『津軽』を歌いたいと思っているが、やはり最近の記憶力では歌を覚えるのに時間がかかるようだ。 で、いまだに歌えないでいる。
『流星』(吉田拓郎) 10年ほど前までは、カラオケボックスのメニューに入っている拓郎の歌というと、『結婚しようよ』と『旅の宿』くらいだった。 しかし、今はけっこう多くの歌が入っている。 中には、アルバム曲の『高円寺』がメニューに入っているところもあるのだから、時代も変わったものである。 さて、この『流星』も、最近のカラオケボックスのメニューには必ず入っている。 この歌はTBSのドラマ『男なら』のテーマソングだった。 北大路欣也主演で、ずうとるびの山田隆夫なんかも出ていた。 ドラマの最後頃に、山田がギターを弾いて他の出演者とこの歌を歌っていた。 あの頃はみんなで歌う歌だったのだ。 しかし、最近この歌を歌うのは、ぼくの周りではぼくしかいない。 前の飲み会でこの歌を歌った時、「誰の歌?」と言われ、寂しく思ったものである。 しかし、それでもぼくはこの歌をうたっている。 気分が乗らない時でも、この歌だけは歌っている。 そう、この歌は数ある拓郎の歌の中で、一番好きな歌なのだ。
ぼくは知っているからといって、闇雲に歌うタイプではない。 気に入った歌しか歌わないタイプだから、そのレパートリーは誰よりも少ない。 レパートリーは、上にあげた歌以外にもあることはあるが、それらの歌はあくまでも、上にあげた歌を歌う前の前奏曲に過ぎない。 ところで、上の歌を歌うのは、だいたい最後の最後、つまり店を出る前である。 時間が押しているのに、前に人が長い歌を歌うと、定番が歌えないこともある。 そういう時、フラストレーションがたまる。 「おれに歌わせろーっ!!」 むなしいものである。
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