昨日、日記を書いた後で、しばらく週刊文春に載っていた『八方クロス』というパズルをやっていた。 解き終えたのが午前2時頃だった。 それからすぐに布団に潜り込んだ。 ところが、なかなか寝付けないのだ。 仰向けになってみたり、横になってみたり、いろいろ体勢を変えてみたが、目は冴えていくばかりだった。 前に、寝付けない時に般若心経を唱えたら、快い眠りに落ちたことがある。 それを思い出して、般若心経を唱えてみた。
ところが、そのお経が何かを呼んだ。 一瞬、場が変わったような気がした。 部屋の中で「バシッ!」という音がする。 『もしかして、これはラップ音か?』 そう思った時だった。 急に体の力が抜け、何かが迫ってくる感じがした。 その途端、背中に布団の感触がなくなった。 体がフワフワして、だんだん上に登っていく。 布団に戻ろうとする意志が強ければそこに留まる。 しかし、気を抜くと上に浮かぶ。 『このままいくと天井に当たってしまう。もうだめだ!』 と思ったら、今度は下に降り始めた。 だんだん体が降りていって、背中に布団の感触が戻ってきた。 『今のは何だったんだろう?』 しばらく考えてみたが、結論は出なかった。
それから2,3分ほど経った時、再びラップ音がして、何かが迫ってきた。 布団の感触がなくなり、体が宙に浮いた。 そしてまた元に戻った。
その繰り返しだった。 5度ほどその状態になった時、ついにぼくは頭に来て、「いいかげんにせ!お前たちの相手をするほど、おれは暇やない!」と声にならない声で怒鳴った。 その途端、場が元に戻った。 窓の外から、バイクが遠ざかっていく音が聞こえた。 おそらく、新聞を配達するバイクだろう。 いったい何時なんだと時計を見ると、すでに4時半を回っている。 その頃には、早く寝ようという気持ちも萎えていた。 先ほどの体験で疲れたのだ。 いつの間にか眠ってしまっていた。
さて、朝になった。 眠気はないものの、頭の芯が痛い。 もしかしたら、あの何かが頭の中に入り込んだのか? 朝からこんな調子だと、一日が面白くない。 結局、今日は一日頭痛に悩まされた。 お客の相手をするのもおっくうだ。。 「早く帰って寝たい」 頭の中はそれしかなかった。
ところで、その『何か』とは何だったんだろう。 人の体を浮かび上がらせる妖力の持ち主。 妖怪か、はたまた霊か。 霊なら思い当たる節がある。 以前、この部屋で寝ていた時に、金縛りにあったことがある。 ぼくの枕元には、黄色い袈裟を身にまとったミイラ顔の坊さんがいた。 もしかしたらあいつか。 あの時は、ぼくの般若心経が勝っていたのか、サッと消えていった。 ということは、夜中のはリベンジか。
もしかしたら、今日また一戦交えることになるかもしれない。 もし、明日の日記が更新されていなかったら、負けたということだ。 その時は霊界あたりに飛ばされているのかもしれない。 まあ、万が一そうなったら、この日記を恐怖新聞にでも連載することにしますわい。
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