世の中気に食わんことだらけである。 北九州に、石原軍団御用達の明太子屋がある。 実際に行ったことはないが、テレビで見る限りでは、店内に石原軍団の写真を貼っていた。 そういうことが売りの店らしい。 会社の行き帰りに、この店の看板をよく目にする。 ぼくはその看板を見る時、いつも思うことがある。 それは、「だから何だと言うのだ!」ということだ。 石原軍団の御用達なら、明太子はおいしいのか? 石原軍団の舌は絶対なのか? ちなみに、ぼくはそこの明太子を食べたことはない。 仮に今から明太子を食べようとした場合、「石原軍団御用達」という言葉だけで、明太子選択の判断材料にするようなことを、ぼくはしないだろう。 だいたい、有名人がよく買っているというのを、宣伝に使うこと自体おかしいのだ。 「うちは、あの石原軍団がよく利用している明太子屋だからおいしいのだ」とでも言いたげな宣伝に不快感を禁じえない。
うちの近くにあるレストランのメニューに、『天皇陛下が召し上がったカレーカレーロワイヤル』なるものがある。 別に、「その時天皇陛下は、この味にいたく感動された」とコメントがついているわけではない。 ただ「食べた」と書いているだけである。 もしかしたら、天皇はその時「まずい」と思ったのかもしれない。 しかし、こういう書き方をしていると、「だからおいしい」と暗に言っているように思えてならない。 実際食べてみると、「だからおいしい」という味ではなかった。 普通のカレーライスだった。
これと似たような話で、『皇室献上銘菓』なるお菓子がある。 食べてみると、それほどおいしいものではない。 確かに皇室に献上したかもしれないが、その程度のお菓子を献上するとは失礼なお菓子屋である。 またそれを宣伝文句に使っているのが気に食わん。
ラーメン屋や飲み屋に行くと、有名人のサインの数々。 あれも気に食わん。 さも「うちは有名人が来店するほどの、凄いお店なんだよ」と言いたげに、サインが並んでいる。 お客もお客で、「ここ○○が来たところなんだって。すげえ!」などと言っている。 しかし考えてみると、その有名人氏は、以前から懇意にしている店ならともかく、こんな地元の人しか知らない店を選んで来るわけがない。 たまたま飲み食いに行った場所が、そこだっただけの話じゃないか。 「すげえ!」ことでも何でもない。 本当に「すげえ!」と言われたいのなら、「このお店の、××というメニューが気に入りました」と書け、というのだ。 ただのサインでは、何にもわからんわい。 それも何と書いているのか、わからないものばかりである。 こんなことやめてしまえ!
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