スナックおのれ
毛。



 自分裏切り、事始め。。

昔、私は塗り絵をきれいに塗ることができた。まず、絵の線に添って塗りたい色で線を描く。その中を同じ色で塗る間、私は、塗り絵の線を決してはみ出ることなく、きれいに塗れた。でも、ある日のこと、塗り枠の中をこぎみ良く塗る私はに一つの欲望が生まれた。「線をはみ出して、ぬってみるか」。簡単なはずのこの行為は、当時の私にとって実に難しかった。どうしても塗り枠どおりに縫ってしまう。思い切って、えいっとばかりに力をいれても、色鉛筆は塗り枠ぎりぎりでとまっている。私の苦労を尻目に色鉛筆を握っている指先は、まるで私のものではないかのように塗り絵の上で助走しながら、なおも紙に色を写す。小さかった私は、これが最後とばかりに指先の助走の延長線上、塗り枠の外を目指して、力をこめた。それから、私は、塗り絵をきれいに塗れなくなってしまった。これ、嘘のようで本当の話。
昔、私は、自分の立てた計画どおりに勉強を進める子だった。宿題ももちろん忘れたことはない。きっちりと自分のスケジュール帳に書き写し、家でチェック。どんなことがあろうと、実行していた。でも、私は高校のときに、それを裏切ることをしった。わかんないや、の一言ですまし、「明日やれば大丈夫」などと言うわけのわからない自信で持って計画を破棄することを覚えた。
私は、自分を裏切ることを覚え、今、ここにいる。「卑怯者」と裏切ってきた自分自信が口々に言う。反論できずに、逃げ切るつもりで私は、また同じことを繰り返している。

2003年05月14日(水)
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