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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■epは最も理にかなった次世代放送のはずだったのに
昨日、将来のTV放送について書いた。
将来のTV放送の三要素は「衛星」、「ブロードバンド」、「HDD」である。

実はこの三要素を満たしている放送サービスは既に存在する。
「ep」である。

epは約1年ほど前に放送を開始したCSデジタル放送。
CSデジタル放送とHDDを組み合わせた専用チューナによって構成されている。
蓄積放送サービスとして、衛星からHDDに番組を蓄積し、見たい時間にHDDから番組を再生する。
ブロードバンドは最初の機種では対応していないが、2世代めから対応する予定だった。
放送テクノロジーから見れば、非常に理にかなっている。
次世代型放送のあるべき姿である。

HDD内蔵チューナーは価格が高いため、携帯電話と同じビジネスモデルを志向した。
ハードウエア自体を安くし、会員費で回収しようと試みた。
携帯電話が実際の製造コストより、ずっと安く買えるのと同じビジネスモデル。

でも、epは失敗した。
大ゴケである。
300万人程度の加入者を目標としたにもかかわらず、現時点でまだ加入者は1万人もいないといわれている。

これは、戦術の失敗である。
epの目のつけどころは正しかった。
だけど、見事にコケた。

失敗の理由は下記の2点。

@普通に店頭で買えない等、サービス形態がややこし過ぎて消費者が理解できなかった
A蓄積番組があまりにもつまらなかった

epのHDD内蔵チューナーは店頭では買えない。
サービスとハードウエアが高度に融合しているのだけれど、消費者はそのややこしいサービスが理解できない。
それ以前に、機器が店頭に並んでいない。
店頭に並んでいても隅のほうに置かれ、ポップもなければ、店員が説明もしない。
epの加入チラシが置いてあるだけである。

HDD内蔵チューナーを安くするために、会員費を取るサービスを取ろうとしたのだけれど、蓄積番組があまりにもつまらないため、会員は会員費用を払うのがアホらしくなった。
epにしてみれば、ハードウエアを安くするための手段であったのに、蓄積番組がつまらないがために、ユーザーは会員費を払いたがらない。
しかも蓄積番組は基本的に広告エリアである。
広告のために、会員費など払えるか、とユーザーは感じた。
epサービスのややこしさを理解できた少数の消費者は、会費を払う事をアホらしいと感じ、epに加入しなかった。

まだ、放送は続いているけれど、時間の問題でサービスを停止するだろう。

とても残念である。
epこそは、最も理にかなった次世代放送サービスのはずだったのに。
本来なら、epは次世代放送の新しいカタチを切り開いたはずだ。
なのに、これ以上、選択の余地がないくらいに、最悪の戦略を取りつづけた。
全くもう・・・。
これは人災である。。

ep関係者の皆さん、もし良かったら僕にビジネスモデルの再構築をやらせてください。
まだ資本金が残っていたら、の話だけれど。

■イーピー
http://www.epep.jp/
08月05日(火)
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