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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■コンサルティングファームの謎 A企業としてのコンサルティングファーム
コンサルティングファームはコンサルティングサービスを提供しているのだけれど、基本的な収益モデルは、コンサルタントの時間貸し。
コンサルタントはクラスによって時間あたりのフィーが細かく設定されている。
クライアントが支払う料金は「プロジェクトに参画する個々のコンサルタントの単価」×「人数」×「期間」。

コンサルタントという「人」が商品であり在庫。
人月単位で人を貸し出して商売をしている。
システムインテグレーションを行うSI会社と同じだ。

コンサルティングファームが収益を上げるためには、僕らがプロジェクトに参画している時間を最大化する事が第一の命題となる。
在庫である僕らコンサルタントが、売れずに倉庫(オフィス)で在庫のまま眠らないように着実に、売らなければならない。

在庫が商品ではなく、人であるため、在庫調整ができない。
商品であるコンサルタントは正社員として抱えてしまっているので、仕事の量の変動に対して、社員数を変動させるわけにはいかない。
全く売れないコンサルタントは不良在庫としてあぼーんされるけれど、頻繁に社員数を変えることはできない。

企業とは「人」「物」「金」で成り立っている、と中学校の社会科の授業で習った記憶があるのだけれど、コンサルティング会社には「人」しか資産がない。
コンサルティングファームは「人」のみで成立しているので、企業として立ち上げるコストは極端に安い。
人さえ集まれば、あとは何もいらない。
工場も倉庫も営業所も原料も商品の仕入れも、何もない。

コンサルティングファームのビジネスのリスクは在庫である人の回転率というか、フィーを得ていないアイドル時間のみである。
コンサルティングファームとしては一定の社員数のなかでいかにして収益を最大化させるかが、経営課題となる。

仕事が増えても、社員数は一定なので、受注可能な仕事の量も一定。
売上高を増やすためにはそのぶん、社員も同じように増やさなければならない。
ビジネスモデル的には利益幅も一定。

収益率を上げるためには、在庫である僕らコンサルタントの回転率を上げる事、経費を削減することの2点のみ。
コンサルティングファームの極端な成長モデルを描く事はビジネスモデル的には難しい。
成長イコール社員の増加。
社員数を増やさない限り、成長しない。
資産である「人」もコンサルタントであり、高度なスキルレベルの人が必要であるため、急激に大量採用する事は難しい。

原状のビジネスモデルのままでは地道に社員の回転率を上げるしかない。
よって次世代のコンサルティングファームは新たな成長モデルを求めてビジネスモデルそのものを変革すべく、試行錯誤を繰り返している最中である。
03月12日(水)
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