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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■コンサルティングファームの謎 @コンサルティングファームとは
今日から「コンサルティングファームの謎シリーズ」をはじめることにする。
コンサルティングファームは謎の組織で、あまり実状が知られていないようなので、僕が書くことにした。
たぶん、これから数日に渡って書くことになる。
コンサルティングファームは、基本的に事務所であって会社ではない。
「ファーム」と言ってるだけあって、商法上は株式会社であってもあくまでも「事務所」。
日本の法制度上、パートナーシップの事務所だと何かと不都合なので便宜上、株式会社の形式を取っている場合が多いけれど。
基本的な成り立ちは、弁護士事務所と同じ。
コンサルタントがお金を出し合って集まり、パートナーとして共同で事務所を立ち上げ運営する。
いわゆるパートナーシップである。
世界中で数万人もの社員がいるのに事務所。
コンサルティングファームは巨大企業であっても経営の基本的形態は、個人のコンサルタントの寄り合い事務所なのである。
僕が「会社は誰のもの?」とか「誰の利益のために働くのか?」と、質問する。
一般的な正しい答えは「会社は株主のもの」であり、「株主の利益のために働く」である。
ところがパートナーシップのコンサルティングファームでは「会社はパートナーのもの」であり、「パートナーの利益のために働く」が正しい。
コンサルティングファームが出資者であるパートナーの所有物なのであれば、コンサルティングファームはパートナーのものであり、パートナーの利益のために存在するのである。
パートナーシップのコンサルティングファーム所属のコンサルタントはパートナーにお仕えし、せっせとパートナーの利益のために働く奴隷階級。
僕の所属するコンサルティングファームは現在はNYSEに上場している完全な株式会社であってパートナーシップではないのだけれど、精神的には未だにパートナーシップ時代からあまり変わっていない。
コンサルタントの寄り合い事務所なので、組織とは無縁。
名刺には所属組織がない。
コンサルティングファームは個人のコンサルタントの集団であって、社内のどこかの組織に所属しているわけではない。
僕の名刺にも組織名はなく、会社名の下に「マネジャー」とだけ書いてある。
本当の僕の所属は「コミュニケーション・ハイテク産業事業部 戦略グループ マネージャ」なのだけれど、形式を重んじるコンサルティングファームとしては所属を名刺では明かさないのである。
コンサルティングファームはコンサルタントの集団ということになっているので、社長もコンサルタント。
社長もフィーをもらってコンサルティングをしなければならない。
社長であっても、社長としての経営以外にコンサルティング業務を義務付けられている。
経営と執行の分離どころか、恐ろしい事に社長まで全員が現役コンサルタントなのである。
社長であってもプロジェクトメンバーとして何らかのプロジェクトにアサインされている。
僕としては社長は中途半端にプロジェクトにちょっかい出したりせずに、きちんと経営に専念して欲しいのだけれど。
それに、社長にプロジェクトに参加されてクソ高いフィーを請求されたら、プロジェクトの予算コントロールがめちゃくちゃになるんだよっ。
と、まあコンサルティングファームは会社であって会社でない、謎の組織なのである。
たぶん明日に謎は続く
03月11日(火)
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