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斜めうえ行く「オクノ総研 WEBLOG」
by オクノ総研
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■グローバルマーケットと日本マーケットの乖離 〜携帯電話編
そもそもの事業構造が根本的に異なっていたのだ。

そして、今も日本の携帯電話は、独自の進化を続けている。
それは、日本のキャリア、端末メーカーの海外進出を阻むとともに、海外の携帯電話キャリア、端末メーカーの日本市場への進出も阻んでいる。
もともとは事業構造、文化の問題から端を発しており、誰の責任でもない。

3Gが普及し、ナンバーポータビリティーが始まると、日本の携帯電話の事業構造は、必然的に日本以外の国と同じになる。
まず、3Gになることにより携帯電話の技術的な要素がほぼ同じになる。
そして、ナンバーポータビリティー。

ナンバーポータビリティーが始まると、ユーザーは携帯電話キャリアを電話番号を変えることなく、気軽に乗り換えることができるようになる。
そうすると、ユーザーは携帯電話キャリアを乗り換えるに当たって、従来慣れ親しんできた通話以外のサービスも同様に受け続けたい、と考えるだろう。
携帯電話端末だって、新たに買い換えることなく、従来の機種を使い続けたい、という人も出てくるだろう。
そうすると、必然的に特定の携帯電話キャリアのみで展開される独自サービス、独自端末は淘汰されることになる。

携帯電話キャリアからすれば、既存ユーザーの離反を防ぐため、逆に独自サービスを増やし、ユーザーの「囲い込み」に走るだろう。
これから日本の携帯電話業界では、キャリアを変更してもサービス、端末を継続利用したい、というユーザーの意志とキャリアによる囲い込み戦略のせめぎ合いが始まる。

そして、最終的には、ユーザーが勝利する。
キャリアがいくら囲い込みを行おうとしても、ユーザーの意志に反する事はできない。
いずれ、日本の携帯電話ビジネスは、キャリア主導ではなくなる。
携帯電話ビジネスのネットワーク、プラットフォーム、端末ビジネスは切り離され、携帯電話キャリアは、独自サービスの展開が困難になる。
携帯電話ビジネスは、PCと同じくオープンとなり、オープンプラットフォームのなかで、様々な事業者がプラットフォームや端末を独自に展開するようになる。

と、なると将来は、日本と日本以外の地域の携帯電話ビジネスの事業構造、技術はほぼ同じになるはずだ。
だがその時点でも、日本の携帯電話は日本以外の地域と比較して、圧倒的に進化したものであるだろう。
一方で、日本の携帯電話は、単なる異常進化種として、グローバルスタンダードから無視される可能性もある。

日本の異常進化した携帯電話は、グローバルスタンダードになれる可能性をまだ持っている。
いずれ、世界中の携帯電話ビジネスは、同じ構造になる。
現在、日本と日本以外の地域の携帯電話は、どんどん乖離の方向に向かっている。
だが、いずれは技術、事業構造ともに同じになるのだ。
携帯電話にかかわる日本企業は、コンピュータ業界で味わった屈辱を跳ね返すべく、今から周到な戦略を検討しておくに超したことはない。

02月05日(土)
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