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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ ショップ99ケーキでハッピー40s
昨年の暮れから仲のいい友人たちと「マドワーズの会」の話をしていた。「四十にして惑わず」の不惑を迎えるにあたり、宴会を開いてめでたいことにしてしまおうと。20代から30代に移るときはわけもなく焦ったりしたものだけど、30代から40代はゆるやかな波に運ばれるような感覚で、迎えるこちらに余裕がある。
今月9日にわたしがマドワーゼル(不惑嬢!?)となるのに先駆け、今日はダンナが一足先に不惑突入。昨日から娘のたまは「パパのたんじょうび、どうしよう、なにしよう」とワクワクソワソワし、おもちゃ棚に突っ込んだまま忘れ去られているhappy birthdayのペーパーナプキンを「これつかおうね」と引っ張り出してきたり、「おうたは、たんたんとおたんじょうびとふたつあるんだけど、どっちがいいかな」と両方の歌を練習したりと張り切っていた。
「たいしたことしなくていいよ」というダンナの言葉に甘えるつもりではいたものの、原稿書きに没頭してふと顔を上げると、保育園お迎えの時間。冷蔵庫の中はすっからかんだけど、外は氷雨。「パエリアならフライパンで簡単に作れて豪華よ」とツイッターでアドバイスされ、レシピを携帯電話に転送したものの、保育園帰りにスーパーに立ち寄るのはとても無理。
仕方なく、保育園とわが家の間に並んでいる八百屋、肉屋、ショップ99で急場をしのぐことに。
八百屋で人参を買い、家にじゃがいもがあったことを思い出し、「そうだ、40(シジュウ)にちなんでシチュウにしよう」とひらめく。夕張から送ってもらった鮭が冷凍庫にいるから、そいつでダシを出してみよう。
肉屋では牛のステーキによろめきかけつつ、「豚とろの塩だれが余っていたから、あれを使おう」と豚ロースに格下げ。そのかわりいつも眺めるだけだった生ハムを奮発。餃子の皮みたいなのが5枚で600円近く。
さて問題はケーキ。これがあれば誕生日らしくなるが、ケーキ屋までは歩けない。ショップ99で「マドワーズ」のシャレでマドレーヌとダクワーズを買い占めようかとも思ったが、あるものでやりくりしてケーキを手作りすることを思い立つ。そのひらめきをくれたのはたまで、「こればべる」と手にしたチョコスナック菓子を見て、だったらケーキのデコレーションにしちゃえとなった。
スポンジもホイップクリームも置いてないので、土台はバウムクーヘン、クリームはアイス、にぎやかしにミニドーナツをカゴに放り込む。バナナを飾ろうと思ったのだけど、たまがバナナチップスをつかんだので、乾きもんバナナに変更。
シジュウシチュウと生ハムで十分喜んでくれたダンナに「実はね、へへへ」とたまと二人、目の前でケーキ作り開始。バウムクーヘンにアイスを塗り、ドーナツを並べ……。わたしがせっせと手を動かす横で、たまはせっせとつまみ食い。手づかみでアイスを食べて、「うんまい」。その様子を主役のダンナはビデオで追いかける。
仕上げにチョコスナック菓子をドーナツの穴のところに並べていき、ケーキ完成。家にあったキャンドルをかき集めても40本にはならないので10年1本換算で4本立て、点火。
お皿の下にはたまが発掘したハッピーバースデーのペーパーナプキン。たまは「たんたんたんたんたんじょうび パーパの パーパの たんじょうび」を熱唱し、自分で4本のろうそくを吹き消した。その間ダンナはビデオ係。
あっという間に溶けるアイスクリームを追いかけながらわいわいとケーキを平らげ、苦肉の策だったけど、お店のケーキよりかえって盛り上がったかもと満足。惑わずにちゃっっちゃと献立の方針を決めたのも吉と出た。わたしの不惑突入まであと一週間と一日だけど、仕事といい子育てといい即決を求められる場面がふえたせいで、性格はすでにマドワーズになっている気がする。
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02月01日(月)
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